Sansanは2022年7月6日、名刺管理サービス「Sansan」に備わる「リスクチェック powered by Refinitiv/KYCC」機能の強化を発表した。機能強化は同年8月下旬から段階的に行う。同機能では、顧客情報を登録すると取引リスクがある企業を自動的にスクリーニングする。今回、ビジネス接点の有無に関わらず取引リスクを確認可能にしたほか、法人リスクチェックの対象に各国の制裁リストを加えている。
Sansanの「Sansan」は法人向けの名刺管理クラウドサービスである。同サービスには、顧客情報を登録するだけで取引リスクがある機能を自動的にスクリーニングする「リスクチェック powered by Refinitiv/KYCC」が備わっている。今回、同機能を2022年8月下旬から段階的に強化すると発表した。
強化点の1つは、接点のない企業についても取引リスクの有無を確認できるようにしたこと。名刺交換をする前にリスクチェックを行わなければならない場面も増えていることから、接点のない企業についてもキーワード検索によってリスクをチェック可能な「リスクサーチ機能」を追加する(画面1)。
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これにより、営業現場における取引リスクの1次スクリーニングに加えて、法務部門や総務部門といった企業のリスク管理の主要部門においても、株主/従業員などの詳細チェックや、問い合わせ先のチェックなど、幅広い場面でリスクを確認できるようになった。
強化点の2つ目は、法人リスクチェック対象に各国の制裁リストを加え、海外の取引先に対してマネーロンダリングやテロ資金供与が疑われる取引先を事前に確認できるようにしたこと。海外との取引が多い企業からのニーズが高かったことから、ロンドン証券取引所グループ傘下のRefinitiv、およびKYCコンサルティングとの連携によって実現している。
リスクマネジメントのガイドライン作成など、導入だけでなく運用まで支援する。KYCコンサルティングが提供するコンサルティングサービスとの連携で、リスクチェック導入後の運用も支援可能である。「リスクチェック機能を導入しても、運用体制や判断基準がないため、リスクを見逃してしまう」といった問題を改善する。
機能強化の背景としてSansanは、取引関係になくても、反社会的勢力とのつながりの発覚や疑惑が持ち上がることで企業が深刻な信用失墜に陥るケースを挙げる。「法務省と金融庁、金融機関は、非上場を含む株式会社に対して、大株主に関する情報を法務局に提出するよう促している。組織としてのガバナンスの強化が重要になっている」(同社)。
同社はまた、実際に企業がリスクチェックを行う場合、営業・フロント部門などの社内メンバーから依頼があった企業を担当者が手作業でチェックする方法が一般的で、チェックの精度や基準に一貫性がないことも課題になっていると指摘する。「信頼できるデータベースを基に早期にリスクを検知できる体制の構築や、リスクチェックを強化するサービスへの需要が高まっている」(同社)。