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品川区が戸籍専門書籍のAI検索サービスを導入、膨大な資料の検索時間を半分に

2022年8月26日(金)神 幸葉(IT Leaders編集部)

品川区は2022年8月26日、日本加除出版(本社:東京都豊島区)の戸籍関連の専門書籍を電子データ化して構築したAI検索サービスの利用を開始した。検索対象の戸籍関連書籍は370冊で、区民が行った届出に対し、審査・判断の根拠となる文献データを高速に検索できる。品川区と富士通Japanが共同で実施した「電子書籍AI検索システムを活用した実証実験」(実施期間:2020年11月~2021年3月)を経て導入した。

 品川区は今回の取り組みの背景について、戸籍事務は関係法令が多く、自治体業務の中でも極めて専門性が高い分野であることを挙げる。「特に窓口事例においては、ベテラン職員でも根拠資料の調査・判断に相当な時間を要する」という。また、同区では多様な住民ニーズへの対応力を高めるために、一定周期で人事異動を行っており、経験年数の浅い担当職員も多い。「知識習得や審査事務の効率化は全国的な課題」としている(図1)。

図1:戸籍業務の特徴(出典:品川区、富士通Japan)
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 そこで品川区は、戸籍事務における業務効率化、正確性の向上と区民の待ち時間短縮を目的に、戸籍専門書籍のAI検索サービスの構築に取り組むことになった。富士通Japanと共同で実施した「電子書籍AI検索システムを活用した実証実験」(実施期間:2020年11月~2021年3月)を経て導入した。

 実証実験では、戸籍専門書籍の出版社である日本加除出版が刊行した300冊以上の専門書籍から関係法令などを高速に検索できる電子書籍AI検索システムを構築、品川区の戸籍事務に適用し、有効性を検証した(図2)。その結果、1カ月間に約150件に上る戸籍届書審査などの調査時間を従来の77時間から40時間まで短縮したという。

図2:電子書籍AI検索のシステムイメージ(出典:品川区、富士通Japan)
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 この実証を経て、富士通JapanはSaaSで利用可能な「MICJET電子書籍AI検索サービス 戸籍」を開発、品川区が全国初のユーザーとなった。なお、富士通Japanは、同サービスを全国の自治体に向けても提供・販売する。

 同サービスは、自然文(文章)で検索を行うことができ、同義語・類義語の読み替え検索にも対応。従来の単語のみの検索に比べ、検索率が大幅に向上する。品川区は、「区民からの届出に対し、その審査・判断の根拠となる文献データの検索時間を大幅に短縮することができ、その時間を区民サービスの向上につなげていきたい」とコメントしている。

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