[事例ニュース]

旭化成、秘密計算で企業間のデータを秘匿したまま連携させて材料開発をシミュレーション

2023年3月28日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

旭化成は2023年3月28日、秘密計算技術によって企業間のデータを秘匿したまま安全に連携させる分析基盤を構築したと発表した。秘密情報を扱うことが多い材料分野の製品開発において、原料サプライヤーや加工メーカー、部品メーカーなどの企業間で安全にデータを共有できるようにする。すでに、蓄エネルギー領域の研究開発で活用を始めている。

 旭化成は、秘密計算技術によって企業間のデータを秘匿したまま安全に連携させる分析基盤を構築した。秘密情報を扱うことが多い材料分野の製品開発において、原料サプライヤーや加工メーカー、部品メーカーなどの企業間で安全にデータを共有できるようにする(図1)。すでに、蓄エネルギー領域の研究開発で活用を始めている。

 同社は、材料開発にAIを応用するなど、社内でのデータ連携を進めている。この一方で、社外の企業との間では、材料開発に関する情報の機密性が高いことからデータ連携が進んでいなかった。このため、適切な原料物性や組成にたどり着くのに時間がかかり、開発期間が長期化するという問題があった。

 こうした経緯から同社は、社内の蓄エネルギー領域の研究開発チームと協力し、データを秘匿化したまま計算できる秘密計算技術(NECが提供)を導入した。個別のデータを共有することなく、それぞれの企業のデータを基に分析可能なデータ分析基盤を開発した。原料情報、加工条件、評価情報といった重要なデータを暗号化したまま統合し、これらのデータを基に材料開発のシミュレーションを実行できるようになった。

 分析基盤は、NECが保有する秘密計算技術のうち、ハードウェアを利用した方式(TEE: Trusted Execution Environment)を活用して構築した(関連記事NEC、データを暗号化したまま計算する秘密計算ソフトをクラウドで提供)。同方式の特徴は、分析にかかる時間が比較的短いことと、秘密計算のための専用のプログラミングが不要で、Pythonで記述した既存の分析アプリケーションをそのまま秘匿化して実行できることである。

 将来の展望としては、材料開発だけでなく、生産計画の最適化など、より広い分野での活用を視野に入れている。さらに、非競争領域における同業他社との連携も視野に入れているという。

関連キーワード

旭化成 / 秘密計算 / NEC

関連記事

トピックス

[Sponsored]

旭化成、秘密計算で企業間のデータを秘匿したまま連携させて材料開発をシミュレーション旭化成は2023年3月28日、秘密計算技術によって企業間のデータを秘匿したまま安全に連携させる分析基盤を構築したと発表した。秘密情報を扱うことが多い材料分野の製品開発において、原料サプライヤーや加工メーカー、部品メーカーなどの企業間で安全にデータを共有できるようにする。すでに、蓄エネルギー領域の研究開発で活用を始めている。

PAGE TOP