ITシステムの運用管理(ITSM)を自動化・高度化するSaaSを提供するServiceNow Japan。同社は2023年3月23日、2023年度の国内での事業戦略に関する説明会を開催した。ポイントは2つ。1つは業種別の顧客開拓を強化し、製造業や金融サービス業、公共機関向けの取り組みを強化すること。もう1つは、これまでのITSMに加え、顧客や従業員の接点、ローコード開発/運用などの領域を強化・拡充することで「プラットフォームカンパニー」への進化を掲げている。
本社直轄組織として経営体制を強化
ServiceNow Japanは従来、米ServiceNowのアジア地域の1部門だったが、2023年1月5日付で本社直轄の事業体に昇格した。それに伴い、日本法人のトップに、ジェームズ・マクリディ(James McCready)氏に代わって鈴木正敏氏(写真1)が就任している。
鈴木氏は日本オラクルを経て、SAPジャパンでプラットフォーム事業や金融、通信など複数の業種における事業責任者を歴任。シマンテックの執行役員社長を経て、2019年12月からUiPath日本法人の取締役兼最高収益責任者(CRO)を務めた。 ServiceNowでは本社SVPも兼任する。
説明会ではその鈴木氏が登壇。ServiceNowが展開する事業の状況と日本における事業戦略について述べた。事業の状況は、(1)過去数年にわたり年率30%前後の成長を持続している、(2)既存ユーザーの投資拡大が続いている、(3)新規利用に占める非IT領域(ITSM以外の領域)が40%を超え、今後は50%を超える見込み、などである(図1)。
2022年の全社売上高は72億4500万米ドル(約9500億円)、顧客数は7700社超、重要因数は2万人超という。日本の数字については言及しなかったが、「グローバルと同じく堅調に成長を続けている」(鈴木氏)という。
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踏まえて、鈴木氏は2023年度の事業方針を説明した。1つがインダストリービジネスの拡大だ。同社のサービスは特定の業種をターゲットにしたものではないが、実態としてユーザーの大きな比率を占めてきたのが通信/サービス事業者。2023年度はこれに加えて製造業や金融サービス業、公共機関の顧客開拓を強化する(図2)。
そのために業種スペシャリストの配置拡大や業種特化型ソリューションの拡充、海外事例の日本への展開などを進める。「本社はもちろん、国内のパートナーと協力して、日本独自の法規制対応やガバメントクラウドへの対応を強化する」(鈴木氏)。
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