矢野経済研究所は2023年4月7日、デジタル人材(IT技術者)の人材サービス市場を調査し、市場動向や参入事業者の動向を発表した。人材育成・研修サービス市場、派遣サービス市場、人材紹介サービス市場の3分野について調査した。これによると、3市場合わせた2021年度の市場規模は、前年度比10.0%増の1兆643億円を推計している。
矢野経済研究所は、IT技術者の人材サービス市場を調査し、市場動向や参入事業者の動向を発表した。(1)人材育成・研修サービス市場、(2)派遣サービス市場、(3)人材紹介サービス市場、の3分野について調査した。3市場合わせた2021年度の市場規模は、前年度比10.0%増の1兆643億円を推計している(図1)。
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サービス分野別の動向は、以下の通り。
(1)人材育成・研修サービス市場に対する需要は拡大傾向を維持し、同市場は堅調に推移していく見込み。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や、業務の電子化の推進強化によって、担い手となるIT技術者の獲得競争が激化している。
(2)派遣サービス市場は、人材不足を背景に、各種業種・企業による派遣技術者に対する需要の維持・拡大によって、拡大推移していく見込み。
(3)人材紹介サービス市場は、IT技術者人材の採用ニーズの拡大、DX推進の進展などを背景に、高い需要を維持し、当面、拡大を維持していく見込み。
将来の展望として、2022年度のIT技術者人材関連サービス市場は、前年度比9.7%増の1兆1680億円を見込む。2022年度から2023年度にかけては、2020年度のコロナ禍でのマイナス影響による人材育成・教育や採用などへの投資控えからの反動で大幅な伸長が期待でき、今後は、研修、派遣、紹介の全分野において堅調に推移していく見通し。
IT技術者の人材サービス市場が成長している背景として同社は、企業のデジタライゼーションやDX推進の高まりを挙げる。2020年度はコロナ禍でのマイナス影響を受けたことで伸長鈍化となったものの、技術の習得に向けたリスキリングなどの人材育成ニーズは依然として高い。また、人材獲得競争が激化している中、人材の確保・採用のアウトソーシング需要や、IT技術者派遣の活用においても需要は高まっているという。
なお、デジタル人材(IT技術者)とは、システム実装やシステム構築・運用等を担うプログラマ/SEなどの情報処理・通信技術者(レベルや専門性は問わず)、デジタル技術やデータ解析のスペシャリスト(データサイエンティスト/AIエンジニア)、システムを設計する人材(アーキテクト)、DX推進プロジェクトのリーダー(プロデューサー)や企画立案する人材(ビジネスデザイナー)など、広義のIT領域の人材を対象としている。