セールスフォース・ジャパンは2024年3月8日、AIツールセット「Einstein 1 Studio」およびデータ管理機能「Salesforce Data Cloud」の4つの新機能を発表した。AIプロンプトをノーコードで作成する機能や、DWHのデータをETLのコピー作業不要で共有可能にする機能、RAG構成の生成AIシステムの構築をサポートするベクトルデータベースなどが加わった。
セールスフォース・ジャパンの「Einstein 1 Studio」は、SalesforceのCRM（顧客関係管理）アプリケーションにAI機能を組み込むためのローコードのツールセットである。2024年3月8日、同ツールセットの2つの新機能「プロンプトビルダー」と「モデルビルダー」を国内で提供開始した。
プロンプトビルダーは、管理者や開発者がAIプロンプトをノーコードで作成する機能である。顧客データなどをプロンプトに容易に埋め込むことができる。セールスやマーケティングなど業務ごとにプロンプトのテンプレートを作成し、CRMの業務フローに組み込んで活用可能である（画面1）。
画面1：プロンプトビルダーの画面（出典：セールスフォース・ジャパン）拡大画像表示
モデルビルダーは、Salesforce上で使う大規模言語モデル（LLM）や予測AIモデルをユースケースに合わせて選択する機能である。Salesforceが標準で提供するモデル以外も選択可能である。また、企業がData Cloud上のデータを活用してローコードで独自の予測AIモデルを構築することもサポートする（画面2）。
画面2：モデルビルダーの画面（出典：セールスフォース・ジャパン）拡大画像表示
また、セールスフォースは、Salesforceの顧客データなどの管理を司る「Salesforce Data Cloud」の2つの新機能「データフェデレーション」と「ベクトルデータベース/Einstein Copilot Search」を発表した。2024年3月中旬から国内で提供する。
データフェデレーションは、クラウドデータウェアハウス（DWH）の「Snowflake」および「BigQuery」のデータを、Data Cloudに実データをコピーすることなく（ETL処理を行わずに）連携する機能である。顧客データを生成AIで容易に活用可能になる（画面3）。
画面3：データフェデレーション機能の画面（出典：セールスフォース・ジャパン）拡大画像表示
ベクトルデータベース/Einstein Copilot Searchは、Salesforce上でRAG（Retrieval-Augmented Generation：検索拡張生成）構成を構築するための機能である。ベクトルデータベースにより、PDF、メール、会話記録などの非構造化データを含む業務データや、購入履歴、カスタマーサポートケース、製品在庫などの構造化データを、生成AIのプロンプト上で活用できるようにする。一方のEinstein Copilot Searchは、ユーザーのリクエストをもとにベクトルデータベースに対して類似性検索を実行し、回答を作成する。回答には出典資料の引用も明記する（図1）。
図1：ベクトルデータベースとEinstein Copilot Searchを組み合わせたRAG構成の概要（出典：セールスフォース・ジャパン）拡大画像表示
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