[事例ニュース]
イオンリテール、値引率最適化システム「AIカカク」を生鮮部門に適用拡大、約1200品目が対象に
2024年5月7日(火)日川 佳三（IT Leaders編集部）
イオンリテール（本社：千葉県千葉市）は2024年5月7日、過去の販売データに基づきAIが適切な値引き率を提示する自社開発システム「AIカカク」の適用範囲を拡大すると発表した。2021年から利用する総菜部門と2022年から利用する日配品（数日期限）に続き、畜産部門（同年5月8日に適用）と水産部門（同年5月22日に適用）で利用する。導入店舗は約380店舗で、今回の適用拡大により適用品目数はこれまでの約1.5倍にあたる約1200品目になる。
イオンリテールは、過去の販売データに基づきAIが適切な値引き率を提示するシステム「AIカカク」を自社開発し、2021年から運用する。まずは総菜部門で利用を開始し、2022年から日配品の一部（数日期限）も加わった（写真1）。
写真1：「AIカカク」の利用シーン。商品のバーコードを読み取って陳列数を入力すると適切な割引率を提示する（出典：イオンリテール）拡大画像表示
AIカカクでは、販売実績や天候・客数などの環境条件を学習したAIが“その日その時”の需要を予測し、バーコードで読み取った商品情報と陳列数をもとに、適切な値引き率を提示する。携行するシール発行機が印刷するシールを該当商品に添付すれば値引き作業が完了する。導入効果として、商品ロス率が1割以上減のほか、値引きや売り切りに関わる教育時間が減少したという。
今回、畜産部門（2024年5月8日から適用）と水産部門（同年5月22日から適用）にも適用。適用品目数はこれまでの約1.5倍にあたる約1200品目になる。導入店舗は約380店舗に及ぶ。
合わせて、2023年に導入した、客数と商品の需要予測を基にAIが最適な発注数を提示するシステム「AIオーダー」の適用範囲を2024年6月より拡大する（図1）。これまで日配品約1000品目を対象に運用してきたが、新たな日配品（漬物やチルド飲料、チーズ、ハムなど）と、デリカの冷総菜やサラダへと対象を広げ、対象品目数はこれまでの約2倍になる。
図1：「AIオーダー」の概要。客数と商品の需要予測を基にAIが最適な発注数を提示する（出典：イオンリテール）拡大画像表示
AIオーダーの導入効果として、発注時間が平均5割減のほか、既存システムと比べて予測精度が最大40%改善。気温の変化などによる突発的な品切れの削減と過剰発注を防ぐことで、在庫を平均3割削減したという。
