IDC Japanは2024年7月2日、国内における企業向けネットワーク機器市場の動向と予測を発表した。2023年の市場規模（支出額ベース）は、前年比成長率9.2％で、3633億2300万円に達した。製品分野別では、Ethernetスイッチ市場は2022年を上回るが、ルーター市場はマイナス成長という。
IDC Japanは、国内における企業向けネットワーク機器市場の動向と予測を発表した。対象となるネットワーク機器は、Ethernetスイッチ、ルーター、無線LAN機器で構成する。2023年の市場は、2022年までの高い需要や過剰在庫に対する懸念があったにも関わらず、前年比成長率9.2％で成長を続け、市場規模（支出額ベース）は3633億2300万円に達した（図1）。
図1：国内企業向けネットワーク機器市場における支出額の予測、2022年～2028年（出典：IDC Japan）拡大画像表示
製品分野別では、プラスとマイナスが入り混じる結果になった。企業向けEthernetスイッチ市場は好調で、企業内LAN向け、データセンター向け共2022年を上回った。「特に、企業内LAN向けは、拠点ネットワークの旺盛なリフレッシュ需要が続いたことに加え、価格改定と円安の進行に伴う実質的な販売価格の上昇によってプラス成長になった」（IDC）。
一方、企業向けルーター市場はマイナス成長だった。IDCによると、最も出荷台数の多いSOHOルーター市場では、いくつかの特需が在庫調整による減少を抑え込み、出荷台数、支出額のいずれもプラス成長を達成したものの、それ以外のセグメントが伸びず、企業向けルーター全体で前年を下回ったという。
また、企業向け無線LAN機器市場は、出荷台数は前年を下回ったが、金額ベースでは円安の進行や価格改定に加え、製品単価が比較的高いWi-Fi 6E製品の広がりによってプラス成長を保っている。
IDCは、2024年以降の企業向けネットワーク機器市場について、安定した市場環境に戻り、無線LAN機器やEthernetスイッチを中心に緩やかに成長すると見ている。同社が算出した2023年～2028年の年間平均成長率（CAGR）は0.9％となっている。
企業向けEthernetスイッチ市場は、想定外に伸びた2023年の影響で2024年は前年を下回るが、2025年以降は市場が正常化し堅調に成長するという。IDCは2023年～2028年のCAGRを1.2％としている。「なかでもデータセンター向けは、市場の牽引役であるハイパースケーラーを中心としたデータセンター拡充の動きが続く」（同社）。このことから、CAGRは4.2％と高い成長率を予測している。
企業向け無線LAN機器市場については、サプライチェーンの制約・混乱からようやく正常化に向かい、緩やかな成長基調に戻るとし、2023年～2028年のCAGRは出荷台数で3.1％、支出額で2.3％と予測している。
「新規に無線LANを導入する余地は小さくなっているものの、高密度無線LAN環境の広がりが、企業向け無線LAN機器市場の成長を持続する原動力の1つになる」
規格別では、今回の調査で初めてIEEE802.11be（Wi-Fi 7）の予測を算出している。IDCは、Wi-Fi 7対応製品が拡充する2025年から2026年にかけて、ハイエンドアクセスポイントを端緒に市場への浸透が進み、予測期間後半にかけてWi-Fi 7への置き換えが徐々に進むと見ている。
今回の発表は、レポート「国内企業向けネットワーク機器市場予測、2024年～2028年」に基づく。同レポートでは、企業向けEthernetスイッチ、企業向けルーター、企業向け無線LAN機器で構成する国内企業向けネットワーク機器市場に関して、現在の市場動向に関する分析と、2024年～2028年の市場予測・展望を掲載している。
