神奈川県川崎市は2025年2月25日、環境行動によるCO2削減量を環境省のデータベースを用いて可視化するする実証実験を行うと発表した。同年2月27日~3月28日の期間で、富士通、ANA X、東芝データ、川崎市が連携して実施する。市民がスマホアプリで行動データを記録すると、CO2削減量に換算して可視化する。
川崎市と富士通は、市民や事業者に向けて環境配慮型のライフスタイルへの行動変容を促すことを目的に、富士通が開発した環境行動変容のためのスマートフォンアプリ「Green Carb0n Club(グリーンカーボンクラブ)」を活用した取り組みを行っている。
この取り組みの一環で、富士通、ANA X、東芝データ、川崎市の4者は、各社が提供するスマホアプリを活用してCO2削減量を可視化する実証実験を、2025年2月27日~3月28日の期間で実施する(図1)。ANA Xは、全日本空輸(ANA)グループのプラットフォーム事業会社で、「ANAマイレージクラブ」の企画・運営を主軸にしている。東芝データは、生活者の購買行動などのデータを分析し、マーケティングやプロモーション、新商品開発などに活用するサービスを展開している。

拡大画像表示
実証実験に参加する市民が、富士通、ANA X、東芝データが提供するスマホアプリから年齢や居住地区などの情報を登録すると、アプリが移動、購買、環境行動のデータを記録する。富士通はこれらのデータを同社が構築した環境行動データ基盤に蓄積し、CO2削減量に換算して可視化する。削減量の算定には、環境省と有志企業による、個々の生活者の行動がCO2排出量をどれだけ削減するかの参考値を記した「デコ活データベース」を利用する。
市民は、富士通のWebアプリ「Eco Potential(エコポテンシャル)」を介して、自身の行動によるCO2削減量を確認できる。環境行動によって削減されたCO2排出量を可視化する仕組みによって、市民に環境行動の意識向上を促す。
日本政府は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、2030年度に温室効果ガスの46%削減(2013年度比)を目指している。川崎市は、CO2を始めとする温室効果ガス排出量の目標を2030年度に市域全体で50%削減、家庭などの民生系で45%以上削減(いずれも2013年度比)と設定し、積極的に脱炭素社会の実現に向けた取り組みを実施している。
表1は実証実験で連携する4者の役割である。4者は今後、市民による環境行動変容の促進、および今回算出したCO2削減量の社会実装に向けて、継続的な検討を進める。また、「Eco Potential」に連携させるデータの拡大や、創出したCO2削減量に対する価値化について検討する。
参加企業 | 役割 |
---|---|
富士通 |
環境行動データ基盤の構築と「Eco Potential」の開発 |
ANA X |
徒歩、自転車、自動車、電車、飛行機などの日常からの移動によってポイントやANAマイルなどが貯まるモバイルアプリ/サービス「ANA Pocket」の提供、および移動データの「Eco Potential」への連携 |
東芝データ |
東芝テックの電子レシートサービス「スマートレシート」のデータ提供、および購買データの「Eco Potential」への連携 |
川崎市 |
市民の行動変容へとつなげられるように実証実験に助言 |