[ユーザー事例]

テラデータ、「Teradata Enterprise Vector Store」を発表、RAG/AIエージェント構築向けに提供

AIエージェント基盤として活用する保険会社の事例を紹介

2025年3月13日(木)IT Leaders編集部

米テラデータ(Teradata)は2025年3月3日(米国現地時間)、べクトルデータベース機能「Teradata Enterprise Vector Store」を発表した。同社のデータ分析プラットフォーム「Teradata Vantage」においてベクトルストアでデータを管理できるようになる。RAGやAIエージェントの基盤技術としての利用を想定して、現在はプライベートプレビュー版として提供、2025年7月に一般提供を開始する予定である。

 米テラデータの「Teradata Enterprise Vector Store」は、RAG(検索拡張生成)構成の生成AIシステムの構築に向けたベクトルデータベース機能である。同社のデータ分析プラットフォーム「Teradata VantageCloud」においてベクトルストアでデータを管理できるようになる。現在、プライベートプレビュー版として提供中であり、2025年7月に一般提供を開始する予定である。

 クラウドとオンプレミスの両環境に対応し、テキスト、PDF、画像、動画などをマルチモーダル型で非構造化データを扱える。ドキュメントデータのベクトル化(数値化)、インデックスの作成、メタデータ管理、検索まで、ベクトルデータベース管理のライフサイクル全般をカバーする。また、時間ベクトルの埋め込み機能を備え、時間の経過に伴うデータの変化を追跡することができる(図1)。

図1:「Teradata Enterprise Vector Store」によるベクトルスコアを用いたRAG構成(出典:米テラデータ)
拡大画像表示

 テラデータは、ベクトルデータベースはAIエージェントにおいても基盤となる技術だが、現実のビジネス課題の解決に利用することが難しく、コストが大きいという問題を指摘する。その理由を「ベクトルデータを高速に管理できるのは小規模なデータセットに限られており、AIエージェントのユースケースに必要な大規模・高速処理には対応できなかったからだ」と説明している。

 Enterprise Vector Storeの先行事例として、保険会社の取り組みを挙げている。その保険会社は数百万人の顧客の契約書をPDF形式でオブジェクトデータベースに保存している。顧客から電話がかかってくると、複数のAIエージェントがデータにアクセスし、個々の顧客に対して正確かつコンテキストを意識して回答するという。

 「カスタマーインタラクションを担うAIエージェントが、自然言語で顧客とリアルタイムにコミュニケーションする。顧客が『マレーシアに旅行に行く予定だが、私の保険は医療費をカバーしているか? 何か追加すべきか?』と聞くと、契約分析のAIエージェントが契約書PDFから補償の情報を抽出し、保険アドバイザーエージェントが旅行期間中の歯科保険の追加を推奨し、アクションAIエージェントが契約書を作成する」(テラデータ)

 テラデータは今後、Enterprise Vector Storeと、マイクロサービス型のRAG向け情報検索機能である「NVIDIA NeMo Retriever」との連携・統合を予定する。これにより、「生成AIアプリケーションを実装しやすくなるほか、何十億ものベクトルデータをミリ秒単位で処理できるようになる」(同社)という。

関連キーワード

Teradata / RAG / ベクトルストア / AIエージェント / VantageCloud / マルチモーダルAI / 生成AI

関連記事

トピックス

[Sponsored]

テラデータ、「Teradata Enterprise Vector Store」を発表、RAG/AIエージェント構築向けに提供米テラデータ(Teradata)は2025年3月3日(米国現地時間)、べクトルデータベース機能「Teradata Enterprise Vector Store」を発表した。同社のデータ分析プラットフォーム「Teradata Vantage」においてベクトルストアでデータを管理できるようになる。RAGやAIエージェントの基盤技術としての利用を想定して、現在はプライベートプレビュー版として提供、2025年7月に一般提供を開始する予定である。

PAGE TOP