[市場動向]

HPE、オークリッジ国立研究所の次世代スパコン「Discovery」を構築へ

前世代の「Frontier」は2022年にエクサスケールを達成

2025年11月4日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は2025年10月27日(米国現地時間)、米オークリッジ国立研究所(ORNL)の2つの大規模計算システムを構築すると発表した。現行システム「Frontier」の後継機となるスーパーコンピュータ「Discovery」と、AI向けマルチテナント型システム基盤「Lux」である。

 米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は、米オークリッジ国立研究所(ORNL)の2つの大規模計算システムを構築する。現行システム「Frontier」の後継機となるスーパーコンピュータ「Discovery」(写真1)と、AIリソースを簡単に利用できるようにするマルチテナント型システム基盤「Lux」である。

写真1:米オークリッジ国立研究所(ORNL)で稼働予定のスーパーコンピュータ「Discovery」の外観(出典:米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)
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 現行のスパコンであるFrontierは、2022年に初めてエクサスケール(毎秒100京回以上の演算性能)を達成したシステム。その後継となるDiscoveryは、Frontierとの比較で特定アプリケーションにおいて最大10倍の生産性向上を見込む(関連記事オークリッジ国立研究所のスパコン「Frontier」が1EFLOPS超で1位に─TOP500の2022年6月版が公開)。

 Discoveryのベースとなるのは、HPEが今回発表したスパコン新機種「HPE Cray Supercomputing GX5000」である。CPUにAMD EPYC(開発コード名:Venice、TSMCの2nmプロセスで設計)、GPUにAMD Instinct MI430X GPUを搭載。ノード間接続に「HPE Slingshot」インターコネクトを採用する。2027年初頭に提供開始する予定。全演算ノードを液冷化し、従来システムより25%省スペース化したという。

 ストレージに、新機種「HPE Cray Supercomputing Storage Systems K3000」を用いる。DAOS(分散非同期オブジェクトストレージ)のオープンソースソフトウェア(OSS)を採用している。性能は、ラックあたり最大7500万IOPSで、Frontierのストレージ「Cray ClusterStor E1000 Storage Systems」(ラックあたり最大1800万IOPS)と比べて3倍に向上する。

 一方、Luxは、AIリソースを簡単に利用できるようにするマルチテナント型システム基盤として構築する。PCサーバー「HPE ProLiant Compute XD685」をベースにしている。CPUはAMD EPYC、GPUはAMD Instinct MI355X GPUで、ネットワーク機構に、パケット処理をオフロードして高速に実行するDPU「AMD Pensando」を採用する。

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