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「ふわふわ」から物性値をAI予測─素材開発ツール「感性AI MateriaLink」にシミュレーション機能

感性データと物理特徴量を結び、マテリアルズインフォマティクスの課題を解決へ

2026年1月7日(水)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

京王グループのAIベンチャー、感性AIはは2026年1月6日、素材探索・開発プラットフォーム「感性AI MateriaLink(マテリアリンク)」をアップデートし、AIによる素材シミュレーション機能を追加したと発表した。「ふわふわ」「しっとり」といったオノマトペ(擬音語・擬態語)を入力すると、その質感を実現するために必要な素材の物性値をAIが予測・提示する。試作前の設計検討を効率化し、開発期間の短縮や廃棄ロスの削減を支援する。

 感性AIは、京王電鉄と電気通信大学の共同出資で2018年に設立された、AIを主領域とする研究開発企業である。感覚や印象といった人間の主観的・定性的な情報をAIが学習・分析して数値化・可視化するAIモデル「感性評価AI」を開発し、さまざまな領域への応用に取り組んでいる。

 同社の「感性AI MateriaLink(マテリアリンク)」は、素材の「質感」に特化した探索・開発プラットフォームである。電気通信大学坂本研究室の知財である「感性定量化技術」を活用し、素材の触り心地などの感性価値を数値化・可視化する。

 素材メーカーはMateriaLinkを利用して、曖昧なイメージから適した質感表現や素材を探索できるようになる。これまで定性的・感覚的で共有が難しかった「感性データ」を定量的なデータとして扱うことで、企業間や社内でのコミュニケーションロスが減り、適した素材を製作・選定しやすくなる。

オノマトペから物性値を予測するシミュレーション機能

 今回、MateriaLinkのアップデートとして、AIによる素材シミュレーション機能を追加した(画面1)。開発担当者が、製品で目指す質感を表すオノマトペ(「ふわふわ」「さらさら」「しっとり」など)を入力すると、その質感を実現するために必要な物理特徴量(厚さ、引張強度、透湿量など)をAIが予測し、提示する。物理特徴量は、厚さ、引張強度、透湿量などの項目を任意で追加することができる。

画面1:素材探索・開発ツール「感性AI MateriaLink」に追加した素材シミュレーション機能の画面(出典:感性AI)
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 素材メーカーが新しい素材を開発する現場では、試作品を作って官能評価を行っている。その際、熟練技術者の経験や勘に頼る部分が多く、理想の質感を出すために何度も試作を繰り返す必要があった。また、近年は技術者の高齢化による技能継承の課題や、試作廃棄物の削減といったサステナビリティへの対応も迫られている。

 そうした中、新機能を利用することで、開発者は試作を行う前の段階で、目指す質感に必要な物性パラメータの目安を得ることができる。「どのような物性値にすれば、顧客が求める『しっとり感』が出せるか」といった曖昧な感性ニーズを、具体的な工学パラメータに変換できるため、試作回数の大幅な削減や、経験の浅い技術者のサポートにつながる。

 素材シミュレーションの予測モデルは、データベースに登録された素材データを基に、質感データと物理特徴量の相関関係をAIで解析し、自動で構築する。統計学やプログラミングのスキルがなくても、Webブラウザの操作だけで予測モデルを作成できるという(図1)。

図1:素材シミュレーション機能の概要(出典:感性AI)

 開発担当者は、シミュレーションした結果から類似素材の検索や既存素材との比較が行える。「滑る」「凹凸な」といった複数の質感尺度を数値指定した検索によって、開発イメージに近い素材を効率的に収集しての比較が可能としている。

●Next:ポジショニングマップの拡張、素材データの実験ノート機能

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