[「人間中心のAI」で企業変革を加速する─生成AIの進化・活用のこれから]
技術を追うだけではなぜ勝てないのか? AI超進化時代の「加速競争戦略」とは:第11回
2026年5月28日(木)森 正弥(博報堂DYホールディングス 執行役員/CAIO, Human-Centered AI Institute 代表)
AI技術は日々進化を遂げ、社会実装が現実の段階に入っているが、多くの企業ではまだ部分的な活用にとどまり、AIに対する脅威感や不安が依然として存在する。「人間中心のAI活用」を推進するためにはどうすればよいか。本連載では、具体的なアプローチを交えながら、企業がAIをどのように向き合い、活用し、未来の成長に役立てていくかを考察していく。第11回では加速するAI技術の進化に振り落とされないために求められる「加速競争戦略」について解説する。

AGI到達へのカウントダウン─加速する「AI超進化時代」の衝撃
「AGI(汎用人工知能)の実現にはあと80年かかる」と言われた時代は、わずか数年前のことだ。現在のAI専門家たちの予測は大きく短縮されている。DeepMind(現Google DeepMind)の共同創業者シェーン・レッグ(Shane Legg)氏は、2028年にAGIが実現すると予測しており、我々は今、「AI超進化時代」の渦中にいる。
「AIエージェント元年」と呼ばれた2025年には、先進企業にてAIエージェントが多数開発され、実業務に近い形で検証を行う動きが進んだ。Anthropicが提唱するModel Context Protocol(MCP)や、Googleが提唱する Agent-to-Agent(A2A)など、エージェント間のコミュニケーションプロトコル標準化の試みも始まった。「バイブコーディング(Vibe Coding)」「エージェンティックコーディング(Agentic Coding)」等の新しい開発スタイルの登場に伴ってAI駆動開発も普及し、AIの開発支援は「計画・実装・テスト・エラー修正」を反復的に行うというエージェントベースのものへと進化している(関連記事:AIがコードを書き、人間がプロジェクトを導く─AI駆動開発時代のエンジニア像:第10回)
2026年以降は、さらにAI技術が発展していく見込みだ。アカデミアでは、AGIの実現にも大きく関わる「世界モデル」や「フィジカルAI」の研究が熱を帯び、応用領域では「デジタルヒューマン」の開発や運用が具体的に進みつつある(図1)。
図1:AGI/ASI(人工超知能)/シンギュラリティに向けたロードマップ(出典:Human-Centered AI Institute)拡大画像表示
●Next:加速競争にある環境下でサバイブするための戦略と要点
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