サイボウズは2009年2月2日、中堅・中小企業向けWebグループウェア「サイボウズ Office」と、Webデータベースソフト「同デヂエ」それぞれの新版を発売した。デヂエで管理する売り上げや問い合わせ内容などを、サイボウズ Officeの画面から参照できるようにした。両製品の連携機能を特徴として打ち出し、サイボウズ Officeとデヂエを併用する需要を掘り起こす。
今年度はデヂエを積極的に売っていく—。サイボウズの青野慶久社長は、新発売のWebデータベースソフトを新年度の柱に据え、1997年の創業来グループウェアに頼ってきた“一本足打法”からの脱却を狙う。
主力製品であるサイボウズ Officeの導入実績は11年間で2万6000社に達した。しかし、中堅・中小企業におけるグループウェアの導入は一巡し、「今後は従来並みの伸びを期待するのが難しい」(青野社長)。そのためサイボウズは、今までほとんど手つかずだったデヂエの市場開拓に乗り出す。デヂエは初版発売から7年半の導入実績が4700社と、サイボウズ Officeの6分の1に過ぎない。「サイボウズ Officeの既存顧客だけを対象と考えても、まだ大きなマーケットが残っている」(同)。
世界的な景気悪化によって、中堅・中小企業のIT投資が減速する公算は大きいが、青野社長は「むしろ景気が悪くなるほど、デヂエは受け入れられやすい」とみる。「簡易なWebアプリケーションならば自社で開発しようと考える企業が増える」というのが理由だ。
強化ポイント
発売したのは「Office 8」と「デヂエ 8」。Office 8は、掲示板や設備予約機能を備えるWebグループウェアである。新版ではAjax技術を活用して使い勝手とセキュリティ機能を高めた。利用者はスケジュールやToDoリストの配置を、マウスのドラッグ&ドロップ操作で自由に並び替えられる。システム管理者はパスワードの有効期限や桁数を設定することで、システムの不正利用を防止しやすくなる。いずれも細かい改良だが、実用性は高まる。
デヂエ 8は簡易型のWebデータベースソフト。データ項目や入力方式をWebブラウザから設定して、商談の進捗や日報を管理するWebアプリケーションを手軽に開発できる。新版では、デヂエで管理するデータをサイボウズ Officeから呼び出して、個々の利用者の画面に表示できるようにした。デヂエに格納した商品マスターや販売計画を営業担当者の画面に、クレーム対応の履歴をサポート担当者の画面に表示するといった使い方ができる(図)。
同社は2製品を連携させることで、サイボウズ Officeユーザーへのデヂエ導入を加速。これまで年平均600社程度だった導入ペースを、今後1年で2000社まで高める。
パートナー戦略と価格
デヂエの拡販に向け、新パートナー制度「グリーンパートナー制度」の導入も計画している。自社の案件管理やプロジェクト管理などでデヂエの利用経験がある、数人から10人規模のシステムインテグレータを募り、中堅・中小企業向けのデヂエ導入支援体制を整える。
Office 8の価格は10ユーザー版で7万9800円。デヂエ 8はデータベース数が20個で年間10万円から。