重さ2.45kg 、ディスプレイは12.1インチのタッチ式のノート機が39万6165円(税込み)。あまたあるネットブックの10倍という、あり得ない価格で登場したのが、デルの「Dell Latitude XT2XFR」だ。
あり得ない価格のゆえんは、ラグド(堅牢)であること。振動やほこり、湿度、温度に対する米国の軍事規格「MIL STD810F」において13項目以上に適合し、また防水性に対する規格「IP54」にも適合するなど、シビアな環境下での使用を前提に開発した。例えばQuadCoolとよぶ廃熱管理システムにより、-23度~+60度の環境でも使用できる。持った感触や見た目も、堅牢性をアピールするものになっている。
デルは防衛や警察関係など官公庁需要のほか、建設関係の現場やプールがあるスポーツ施設などにおける需要を見込んでおり、こうしたユーザーに必要になる万一の際のサービスも、オプションで用意している。故障の際にも翌営業日までに修理するサービス、ユーザーの使用環境のシステムイメージを預かり、そのイメージをプリインストールして納品するサービスなどである。「(想定ユーザーの特質にあわせて)このモデルは3年間にわたって同一の製品を提供し続ける。それにより安定した運用と、導入時の検証工数を削減できる」(同社)。
PCとしてのスペックは、標準的な構成だ。CPUはCore2Duo(1.6GHz)、メモリーは1GB(最大5GB)、ストレージは64GBのSSD(128GBのSSD、または160GBのフリーフォールセンサー付きSATA HDD)などである(OSはWindows7)。堅牢性重視のPCとしては拡張性が高く、200万画素のカメラやGPS、シリアルポート搭載のリプリケータなどを追加できる。タッチディスプレイも標準は静電式だが、手袋をはめていても操作できるよう抵抗膜式も用意した。またディスプレイは裏返しても使えるコンバーチブル型であるなど、使い勝手を重視した仕様になっている。
堅牢性重視の業務用途向けノートPCは、「TOUGHBOOK」を擁するパナソニックが切り拓いた市場。ここ数年、こうしたコンセプトのPCは徐々に増えており、例えばNECの「ShieldPRO」がその1つだ。デル自身、2007年1月に「Latitude ATG D620」を発表しており、今回のXT2XFRは2世代目になる。「堅牢ノートPCでタッチディスプレイを搭載するのはこれが市場初。機種そのものはもちろん、運用サービスも含めて、競争力は高いと確信している」(同)という。
写真1:シビアな環境下での使用に耐える「Dell Latitude XT2XFR」