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新潟県がアジャイル開発で文書検索・目録作成支援システムを構築

2010年4月26日(月)IT Leaders編集部

新潟県は2010年4月、公文書の管理支援システムを構築した。県庁内の業務のナレッジベース化と、紙文書の目録作成の効率化が目的だ。IT Leadersは、システム構築を担当したウルシステムズに、システムの概要やプロジェクト進行のポイントを聞いた。

 新潟県庁(新潟県新潟市)が構築した「文書検索・目録作成支援システム」は、電子化した公文書の検索と、紙と電子ファイルを含めた文書目録の作成を支援するシステム。「ファイル基準表」と呼ぶ文書目録フォーマットの項目に基づいてファイルサーバーのフォルダを構造化。事務員などが文書ファイルを適切なフォルダに保存することで、自動的に目録とインデックスを作成するのが基本的な仕組みだ。

 当初は文書ファイルをすべて電子化して検索を容易にするナレッジベースの構築が主目的だった。公務員は2~3年周期で異動することが多く人材の流動が激しい。さらに新潟県は300に及ぶ課を抱えており業務内容もバラバラで、人材教育が困難になっていたことが背景にあった。

 だが新潟県とウルシステムズ双方の担当者がディスカッションを繰り返すうちに、課題に直面した。文書の中には、法律によって紙文書としての保管が義務付けられているものがあることから、ナレッジベースを構築しても依然として紙文書の保管のためのワークフローは残るのだ。そこで従来の紙文書の保管に関わるワークフローは変更せず、「紙文書の保管の際に必要なファイル基準表の作成の負荷を軽減する機能をシステムに盛り込むことにした」(ウルシステムズ事業開発部マネジャーの植田 淳氏)。

 紙文書の保管体制に合わせるため、ファイル分類の仕組みは既存のファイル基準表で利用しているものを踏襲した。具体的には、県庁内のファイルサーバーに、部課の名前や資料の種類、文書作成年といったファイル基準表の作成に必要な項目ごとにフォルダを階層化して作成。システムは、ファイルの置かれたフォルダとその上位階層のすべてのフォルダの名前を調べ、ファイルのメタデータとしてデータベースに登録する。

「文書検索・目録作成支援システム」の利用イメージ(提供:ウルシステムズ)
図 「文書検索・目録作成支援システム」の利用イメージ(提供:ウルシステムズ)

 システム開発手法には、設計から開発、テストまでを短期間のサイクルで実施し、要求仕様の変更をシステムに柔軟に反映する「アジャイル開発」を採用した。通常のアジャイル開発ではベンダーとユーザーが常にオンサイトで開発を進めるのが一般的だが、地理的な制約などで「2週間に1度、東京にいる開発チームが新潟に出向き、半日かけて要求仕様などのヒアリングやディスカッションをした」(ウルシステムズの植田氏)。これを5サイクル繰り返し、約3カ月間でシステム構築を完了した。

 検索エンジンには、ジャストシステムのエンタープライズサーチ製品「ConceptBase Enterprise Search」を採用。ジャストシステムとウルシステムズが共同開発した文書管理システム構築支援ツール群「Document Intelligence」を利用して構築した。

 現在のシステムは県庁内での文書検索・閲覧に限定している。今後は公開Webサイトから同システムを使用可能にすることも検討。会社名や個人名といった固有名詞など、公開できない部分を指定することで公開時にマスキングする仕組みを既に実装している。

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