2011年10月17日、クラウドの導入効果を検討する中立的な活動組織「ニッポンクラウドワーキンググループ」(NCWG)が発足した。単体では効果の薄いクラウド同士を連携し、クラウドの価値や利便性を高めるの狙い。
運営事務局 会長の小堀吉伸氏はクラウドの現状について、「クラウドごとに認証やユーザーインタフェース(UI)が異なるため、利用者の使い勝手は悪く、生産性の低下を招いている。データを連携するにも個別に構築するケースが多く、クラウド導入の障壁となっている」と指摘。そこでNCWGはこうした課題を解決する「グランドクラウド」構想を描く。
グランドクラウドでは複数サービスのシームレスな連携を目指す。具体的には、シングルサインオンで複数サービスを利用できる「ID連携」、異なるサービスでも同様の操作性を実現する「UI連携」、サービス間のデータをやり取りする「データ連携」を整備。これら機能を備えるプラットフォームをIaaS上に展開し、異なるクラウドから必要なアプリケーションのみを選択利用できるようにする。「今後は300以上のアプリケーションをID連携できるようにしたい」(部会に参加するオレガ 執行役員 藤田浩之氏)。
部会の参画企業は発表時点で37社。国内のパッケージソフトベンダーやシステムインテグレータなどで構成する。主な企業はアーク情報システム、アプレッソ、HDE(現HENNGE)、シックス・アパート、北斗システムジャパンなど。IaaSベンダーも協賛しており、NTTコミュニケーションズやインターネットイニシアティブ、ニフティなど10社が名を連ねる。
今後は1カ月ごとに部会を開催するほか、会員企業以外を対象にしたセミナーも開催する予定。
なお米国では現在、数あるクラウドの中から必要なサービスを選択利用する動きが加速している。異なるクラウドのパフォーマンスやAPIへのアクセスを一元管理するきめ細かなサービスがすでに登場。これらを組み合わせて利便性の高いクラウドを構築できる環境が整備されつつある。