SIerやベンダーがサービスを拡充 保守サポートの“選択肢”が増加──。企業におけるOSS活用の動きが本格化するに伴い、 さまざまなベンダー、SIerが保守サポートサービスを拡充している。 Apache TomcatやPostgreSQLなどの“定番”を中心に、 保守サポートを利用者が取捨選択できる環境が整いつつある。
従来、業務利用を考える際にOSSの不安要素とされていたのが、障害時の原因調査や不具合修正プログラムの提供を行う保守サポートが不十分なこと。Linuxの商用ディストリビューションなど、ベンダーが提供するものについては商用パッケージと変わらないと考えてよいが、大多数のOSSについては、仕様の把握から、トラブル時の原因調査までを利用者が行う必要があった。
しかし、企業利用が本格化するのに伴い、サードパーティが有償の保守サポートを拡充する動きが活発化している。例えば、日立製作所は2011年10月、保守サービス「日立サポート360」の対象OSSを拡大。2012年1月にはNECが運用監視ソフトウェア「Zabbix」など複数のOSSをサポート対象に加えた。有償サポートの充実によって、企業ITを構成するソフトウェアの選択肢がぐっと広がってきた。
「ソースコードの解析やコミュニティでの情報収集など、OSSの保守には手間が掛かる。IT部門が手がけるべき作業ではない。有償サポートを購入したとしても、OSSのメリットは余りある」(サイオステクノロジーの黒坂肇 OSSテクノロジーセンター長)。
スキルやニーズに合わせた
保守サポート選択が可能に
サポート内容は概ね3つある。1つめはOSSの情報提供。開発コミュニティなどをチェックして、対象OSSの脆弱性やバグ修正などの情報を定期的に提供する。
2つめは、技術的な問い合わせへの回答である。ユーザー企業に代わってOSSの仕様を把握し、設定値が持つ意味や、エラーメッセージへの対処方法などの質問に答える。
3つめは、障害の原因調査。サポート対象OSSに関連する障害が発生した場合に、ソースコードやログファイルなどを手がかりに原因を調査し、問題の解決策を提案する。原因がOSSのバグによるものと判明した場合、開発コミュニティに修正を依頼して、その対応を待つ場合が多い。ただし、緊急の対応を要する場合には、暫定パッチを提供するサポートもある。
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