BI(ビジネス・インテリジェンス)ツール・ベンダーの米データウォッチ(Datawatch)は2013年9月6日、事業説明会を開催し、年末までに日本オフィスを開設し、日本市場に本格参入すると表明した。既に、三井住友銀行やトヨタ自動車、アウディジャパンなどを顧客に持っている。買収で得たビジュアル化ソフトを新たなテコに、市場拡大を図りたい考えだ。
米データウォッチ(Datawatch)の「Datawatch Information Optimization Platform」は、構造化データに加え、PDFや文書などなどの準構造化データと、ログファイルやEDI(電子データ交換)データといった非構造化データを扱えるBIツールである。
データを抽出・変換する「Monarch Professional」と、データを配布・統合する「Data Pump」、データを管理する「Enterprise Server」からなる。Monarchが、PDFやEDIなどを読み込み、その構造からデータを切り出すことで、分析可能なデータに変換する。
ここに、リアルタイム処理とビジュアル化エンジンを持つ「Panopticon」旧スウェーデンのパノプティコン・ソフトウェア製)の買収により、使い勝手が高いユーザー・インタフェースを獲得した。株価情報のようにリアルタイムで変化するデータを取り込み、その変化をグラフにして表示できる(写真1)。Panopticonは、独SAPのインメモリーデータベース「HANA」の可視化ツールとしてOEM(相手先ブランドによる生産)提供されている。
Information Optimization PlatformとPanopticonは現時点では、別製品だ。だが、これらは年内をめどに統合する計画だ。
米本社のCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)兼ストラテジックアライアンス担当シニアバイスプレジデントのベン・プラマー氏は、「BI業界は今、統合が進んでいる。ビッグデータ対応において分析したいデータの多様化が進み、従来製品のアーキテクチャでは対応し切れないからだ」と、Datawatchの差異化点を強調する(写真2)。プラマー氏によれば、同社顧客の「95%は、構造化データと準構造化データ、非構造化データを組み合わせて分析している」という。
これまで日本市場を担当してきたDatawatchシンガポールのアジアパシフィック地区担当マネージングディレクターであるカール・モアントレ氏も、「Datawatchの技術は破壊的テクノロジだ。大手ベンダーは大手企業を顧客に持っているだけに、急に舵を切れない。変化は常に小さな会社から始まるものだ」と話す(写真3)。
Datawatchは全世界で4万超の顧客を抱え、ユーザー数では50万を超えるという。顧客の業種は、金融サービスや製造業、医療、行政機関などで、大企業だけでなく、中堅・中小企業も利用しているとする。
日本市場では、ニュース配信などを手がけるトムソン・ロイター・マーケッツとパートナーシップを組んでおり、金融業などへの提案活動を展開してきた。これを土台に日本オフィスでは、自動車や通信といった業種への提案を強化する方針だ。
Datawatchの価格は、約2000ドル(20万円前後)から。米エクセルソフト(XLsoft Corporation)日本法人のエクセルソフトが販売代理店になっており、PCなどの流通チャネルやシステムインテグレーターとの販売チャネルなども利用する。