第2回、3回の記事では、グローバルにビジネスを展開する欧米企業のIT組織がどのような構造で、どんな役割を担っているのかを、事例を交えながら解説した。今回は、拠点が備えるIT機能について考える。
拠点のIT組織が備える機能とは
「連邦型IT組織」の場合、拠点ごとに構えるIT組織にはどんな機能が求められるのか。次の2つが考えられる。
・国や地域の特性に合わせたシステムを開発/運用する能力
・現地の市場ニーズを汲んだITサービスを迅速に準備/展開する能力
国や地域の拠点に設置したIT組織は、IT戦略の策定やシステムの運用/保守などの役割を担う。しかし多くの日本企業は「連邦型IT組織」が備えるべき機能を理解せず、本社と現地のIT組織の役割が曖昧なままとなっている。
本社と現地にIT組織を構える「連邦型IT組織」の場合、機能ごとに役割を分担することが重要である。
図2は、「連邦型IT組織」の機能と役割分担を示している。
機能は大きく3つに分かれる。「グローバルITマネジメント」、「(地域や国ごとの)ローカルITマネジメント」、「ITサービス提供」である。
グローバルITマネジメントは主に本社のIT組織が担う役割となる。全社共通のIT戦略を策定するほか、コストや投資、人材配置なども主導する。
これに対し「ローカルITマネジメント」は、地域や国ごとに構えるIT組織が担うべき役割。国や地域の市場や社会情勢、進出している競合他社などの状況を勘案し、必要な戦略やシステムを個別に検討する。ただし前提として、グローバルの戦略やシステム像と足並みを揃えることが必要だ。「全体最適」の視点を持ちつつ、個別の要件を満たしていかなければならない。本社のIT組織は、各拠点の取り組みをモニタリングするなどして、グローバルで目指すべき方針や戦略がぶれないように調整することが必要である。
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