[新製品・サービス]
IBM、Power SystemsをSoftLayerのインフラ基盤に採用、ハイブリッド/プライベートクラウド支援の新ツールも発表
2014年2月26日(水)IT Leaders編集部
米IBMは2014年2月25日、同社のIaaS事業「SoftLayer」の品質向上およびサービスの多様化の目的で、「IBM Power Systems」サーバー製品群をSoftLayerのクラウド基盤のインフラとして採用したことを発表した。併せて、企業のハイブリッド・クラウド/プライベート・クラウド環境構築を支援する新サービスおよびツールも発表した。
SoftLayerは、IBMが2013年7月に米国の新興クラウド事業者シフトレイヤーを買収して得た技術・サービスを、IBMのクラウドポートフォリオの一員として再編した事業である。
そのクラウド基盤に、IBM Power Systemsサーバー製品群を採用することで、クラウドを活用したビッグデータ分析といった先進分野に取り組む企業に、より効率的なアプローチを提供できるようになるとしている。
IBM Power Systems上で実装されるSoftLayerは、IBMワトソン・ソリューションの一員として提供される。IBMによれば、同社は今後、IBM Power Systemsの処理性能を生かしたIBMワトソン・ソリューションが順次発表していく予定だという。現時点で投入を計画している製品は以下のとおり。
●IBMワトソン・ソリューション:「Watson Discovery Advisor」「Watson Engagement Advisor」
●PaaSレイヤ:第三者によるコグニティブ・アプリケーションの設計、開発、構築を可能にする技術、ツール、SDK、APIを備えたPaaS「The Watson Development Cloud」
●SaaSレイヤ:「DB2 BLU」「IBM Cognos」などのデータマネジメント/アナリティクスサービス
●IaaSレイヤ:ベアメタルの「IBM Power Systems」をオンデマンド基盤として顧客に提供
また、企業のハイブリッド・クラウド/プライベート・クラウド環境構築を支援する新しいサービス/ツールも併せて発表された。
「IBM Platform Computing Cloud Service」は、クラウド/オンプレミスのハイブリッド環境で大量のリソースを必要とする企業に向けた、“コンピュート・インテンシブ”用途向けのクラウドクラスタ・サービス。SoftLayerのユーザーにハイブリッド・クラウド環境における管理の簡素化と洗練されたユーザーエクスペリエンスを、導入後ただちに享受できるようになる。同サービスの導入により企業は、自前のインフラを購入・導入・設定することなく、SoftLayerのクラウドリソースへの一時的にアクセスが可能になる。SoftLayerの非共有物理基盤にまで利用可能なITリソースを拡大させられるため、需要の急増にもパフォーマンスの心配をすることなく対応可能になるという。
また、SoftLayerおよびオンプレミス環境では「IBM Platform LSF」「Platform Symphony」ツールが提供される。これらのツールは、オンプレミスから安全なオフプレミスリソースへとワークロードを必要に応じてスムーズに配分し、容量の拡大を可能にする。
このほか、「IBM z/VM」メインフレーム環境およびLinuxによる仮想サーバー環境に向けた仮想化管理ツール「IBM Wave for z/VM」も発表された。IBM Waveはイスラエルの仮想化製品ベンダー、CSLInternationalの買収を通じてIBMが取得した技術がベースになっており、IT管理者に、ポリシーに基づいた仮想サーバーのセットアップ/拡張作業の自動化や、複数のリソースを単一のUIで一元管理できる機能などを提供する。
2014年1月、IBMはグローバルでクラウドへの取り組みを拡充するために12億ドルを投じて、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアをはじめとする世界15カ国40地域のデータセンターからクラウドサービスを提供する計画を発表している。今回発表された一連の取り組みも、その大規模な投資の一環であると見られる。