今や、モバイル活用は企業ITの最重要テーマの1つ。しかし、モバイルアプリの開発には全く土地勘がないという読者も多いのでは。分からないことは先達に尋ねるのが一番だ。本連載では、ニフティ、はてな、GREEでコンシューマ向けサービス開発の最前線に立ってきた伊藤直也氏に、モバイルアプリ開発の定石を聞く。(緒方 啓吾=IT Leaders編集部/監修:伊藤直也)
1アプリ1機能がセオリー、機能を詰め込まない
PCと同じように、モバイルアプリに、機能を満載したり、情報をたくさん表示したりすると、利便性は低下する。電車の中で、急いで乗換ルートを調べるときに、メニューを何階層も辿らなければならないと不満を感じるだろう。基本的には、1つのモバイルアプリには、1つの機能のみ担わせるのがセオリーである。
なお、ユースケースを設計するにあたっては、モバイルはPCのオマケではないことも念頭におきたい。情報システムの企画や構築を担当する人物は、概してITリテラシーが高い。こうした人々は、PCがメインデバイスで、モバイルはオマケとして捉える傾向がある。結果、PC版では予約も変更もできるが、モバイルでは閲覧のみといったアプリが生み出されてきた。
しかし、今やモバイルはメインデバイスである。PCを使わず、もっぱらスマートフォンに頼った生活をしている人も少なくない。アプリは、単独でユーザーの目的を達成できるよう設計すべきだ。例えば、アプリを利用するのにユーザーアカウントが必要なら、アプリ内でそれを取得する機能を設ける。別途、PCでの作業を求めるような作りにしてはならない。
ユーザーの満足度を高めるためには、PCのことはいったん忘れて、スマートデバイス向けに一から設計しなおす必要がある。
監修者プロフィール
伊藤直也(いとう なおや)
ニフティ、はてな(取締役 最高技術責任者)、グリー(ソーシャルメディア統括部長)を経て、2012年4月よりフリーランス。ブログやソーシャルブックマーク、モバイルアプリなど消費者向けサービスの開発・運営に一貫して携わる。現在はWebサービス事業者やシステムインテグレーターへのアドバイザリー業務なども行う。著書に『入門Chef Solo』(Kindle Direct Publishing)『サーバ/インフラを支える技術』『大規模サービス技術入門』(いずれも技術評論社)などがある。
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