アイ・ティ・アール(ITR)は2025年10月23日、国内のデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)市場における規模の推移と予測を発表した。2024年度の売上金額は前年度比66%増の65億9000万円だった。上位2ベンダーの売上が前年度比で1.5倍を超えたほか、市場を構成するベンダーの多くが2ケタ以上の伸びを達成した。2025年度はさらに好調な見通しで同69.8%増を予測している。
アイ・ティ・アール(ITR)は、国内のデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)市場における規模の推移と予測を示した。
デジタルアダプション(Digital Adoption)は、企業が導入したシステム/アプリケーション(SaaS、CRM、ERP、社内ポータルなど)を、従業員や顧客がスムーズに使いこなせるように支援する技術。エンドユーザーの画面上に操作ガイドを表示して操作のしにくさを解消することで、活用と定着を促進する。
同市場の2024年度の売上金額は前年度比66%増の65億9000万円だった。上位2ベンダーの売上が前年度比で1.5倍を超えたほか、市場を構成するベンダーの多くが2ケタ以上の伸びを達成した。2025年度はさらに好調な見通しで同69.8%増を予測している(図1)
図1:DAP(デジタルアダプションツール)市場における規模の推移と予測(2023~2029年度予測)(出典:アイ・ティ・アール)拡大画像表示
2025年度はさらに好調な見通しで同69.8%増を予測している。2024~2029年度のCAGR(年平均成長率)は49.9%で、2029年度には500億円に迫ると予測している。
DAPを企業内で活用する場合、システム/アプリケーションにおける教育コストの削減が主目的となる。「一方、顧客やパートナーなど社外向けサービスで活用する場合は、顧客支援コストの削減や利益最大化への期待から注目度が高まっている」(ITR)。現在、DAPベンダー各社は自社製品に、AI技術の活用、連携システムの拡充、特定製品への組み込みなどを進めており、適用範囲が広がっているという。
同社シニア・アナリストの水野慎也氏は、次のように説明している。「DAPは社内システムの支援だけでなく、小売業の顧客向けや自治体サービスの利用者向けなど適用領域を広げている。今後は、AIにより、従来の手動的なガイダンス提供から、より高度な支援へと進化する」。
今回の発表は、市場調査レポート「ITR Market View:コラボレーション/ナレッジ共有市場2025」に基づく。同レポートは、コラボレーションスイート、コンテンツコラボレーション(ECM・文書管理/オンラインファイル共有)、ユーザー間ファイル転送、ナレッジ共有、DAPの全5分野を対象に、国内35ベンダーへの調査から2023~2024年度売上実績と2029年度までの売上予測を掲載している。

































