[市場動向]

顧客と共同で次世代ソリューションを生み出す米Salesforce.comの試みは奏功するか?

2014年4月4日(金)田口 潤(IT Leaders編集部)

米Salecforce.comが2013年11月に発表した、新しいクラウドサービス基盤「Salesforce1 Platform」をご存じだろうか。このSalesforce1 Platformを生かした新しいソリューションを主要6業種向けに提供すると、Salecforce.comは2014年4月4日に発表した。発表文では詳細は述べられていないが、各業種の主要企業と組んでユニークなビジネスモデルを含んだ新しいソリューションを構築すると見られる。

写真:特定業種向けのソリューション開発・提供を率いる
Salesforce.com上級副社長のヴィヴェク・クンドラ氏

 クンドラ氏は、第1次オバマ政権において、わずか33歳にして米国政府の初代CIO(最高情報責任者)を務め、「オープンデータ」や「オープンガバメント」という潮流を創り出した異才である(関連記事『30歳代半ばのCIOが率いた米国政府のクラウド化』)。2011年8月に退任し、12年1月にSalesforce入りしている(写真)。同氏が率いるプロジェクトというだけでも期待が高まろうというものだ。

 もう1つは、斬新なソリューションを目指すべく、6業種の企業と組んでリスク/ノウハウをシェアするアプローチの新しさである。そのために同社は、クンドラ氏の下に、各業種のエキスパートを配置した。

 具体的には、小売り・消費者向け製品では衣料品の米GAPのマーケティング責任者だったシェリー・ブランステン氏、自動車・製造では仏ルノーや日産の役員を務めたパトリック・ペラタ氏、医療・製薬では米GenentechやスイスRocheでCIOを務めたトッド・ピアース氏などである。発表文では詳細は述べられていないが、これらのエキスパートを核に、各業種の主要企業と組んだ新しいソリューションを構築すると見られる。

 ベンダーとユーザーの協業は、これまでも少なからずあった。だが、こうした組織的な形で、しかも同じSalesforce1というサービスを使って協業し、IoCという新たなコンセプトを具現化するソリューションを創り出す試みは珍しい。同社の社長兼副会長であるキース・ブロック氏は発表文の中で、「あらゆる業種の企業が、ビジネスモデルを変革し、これまでとは違う新しい手段で顧客とつながることを実現するソリューションに関心を寄せています」と述べている。

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