必要なERPシステムの機能をハイブリッド環境から選び最適化を図ることは魅力的だ。だが、オンプレミスのERP環境を現行のまま運用していては、二重投資になる可能性がある。そうした中、「ERPパッケージの保守契約費を半額にできる」とする第三者保守事業者が日本市場にも現れた。パッケージをバージョンアップせず、法制度対応などだけを継続する。
ノンカスタマズが理想――。とはいえ、会計や人事、生産など企業の基幹業務を支えるERPパッケージの導入においては、現場の実態に合わせたカスタマイズは避けられない。その方法や規模によっては、バージョンアップが困難だったり、そのたびに追加費用が発生したりといった課題に直面する企業は少なくない。
クラウドサービスは、こうしたカスタマイズにまつわる課題の解決策でもある。個別企業のためのカスタマイズこそしないものの、新しい考え方を加味した機能を共通サービスとして提供する。Part1、Part2、Part3、Part4で見てきたように、ERPベンダー各社がクラウドシフトを加速しているのも、数々の機能をパッケージという「モノ」として流通させるのではなく、ソフトウェアはベンダーが一元管理し、その機能を「サービス」として流通させることが、カスタマイズ問題の解消になるとの考えだ。
とはいえ、次々と登場するクラウドサービスを闇雲に採用していては、新たな投資が必要になる。独SAPや米オラクルは、それぞれが提供するオンプレミスの機能とクラウドの機能は明確に差異化が図られているというものの、既存システムのスリム化を図らなければ、運用コストの高止まりからは抜け出せない。
第三者による保守サービスが登場
こうした中、「パッケージベンダーの保守契約費用は高すぎる。半額で保守を請け負う」という事業者が2014年3月、日本市場に参入した。米ラスベガスに本社を置くRimini Streetである。例えば、SAPの保守契約費用は、製品価格の22%だが、Rimini Streetは、その半額の「11%でパッケージの運用保守を請け負う」という。
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