[新製品・サービス]
日本オラクル、RDB/NoSQL/HadoopへのデータアクセスをSQLで統一できる「Oracle Big Data SQL」を発表
2014年9月1日(月)河原 潤(IT Leaders編集部)
日本オラクルは2014年9月1日、リレーショナル・データベース(RDB)、NoSQLデータベース、Hadoop/HDFSで格納・管理される構造化/非構造化データに対して、業界標準のSQLを用いた統一的なアクセスを可能にするソフトウェア新製品「Oracle Big Data SQL」を発表した。米国で2014年7月にリリースされた製品で、9月中に国内でも提供が開始される予定だ。
「ビッグデータの活用を阻む3つの課題に解を示す」
新製品投入の背景として、日本オラクル 代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏は、ビッグデータ活用に対するユーザーニーズの高まりと、その取り組みにおいてユーザーが直面する課題を挙げた。
「現在、64%の企業がビッグデータへの投資ないしは投資の計画を行っているというガートナーの調査結果が示すように、ビッグデータの活用がその企業のビジネスの生命線になりつつある」と杉原氏。その一方で、「システム連携の複雑さや、ビッグデータ分野における専門的スキル・経験の不足、顧客情報をはじめとするデータ保護のセキュリティなどが障壁となって、ビッグデータプロジェクトの始動や展開を困難なものにしている」(同氏)という。
また、三澤氏は、上述の課題が十分に解決できていない状態でビッグデータ活用に着手した企業が、「自社の顧客が求めるタイミングと内容での、的確なリアルタイムなオファーが行えないでいる」と指摘。とりわけ、(1)個人情報のセキュアな取り扱い方、(2)さまざまな種類のデータをリアルタイムに扱うための一元化、(3)開発・運用・保守スキルの3点がリアルタイムなオファーの実現を阻んでいるとした。
これらの課題に対するOracle Big Data SQLが示す解として、三澤氏は、「新製品の導入により、NoSQLやHadoopなど、RDB以外のデータソースについても、すべてSQLからのアクセスが前提になる。つまり、Oracle Exadata Database Machineで稼働するOracleデータベースが、企業が取得・蓄積したすべてのデータを一元的に扱えるのと同時に、そのアクセス権限を持つユーザーだけがデータを扱えるというセキュリティ・ガバナンスも構築される」と説明した。
NoSQLやHadoopによるビッグデータ分析基盤を扱うために、それぞれのテクノロジーの特性やデータアクセスの仕組みを一から学ぶのは非常に困難である。であるなら、多数のデータベースエンジニアが習熟している標準言語のSQLを通じて、ビッグデータの活用を可能にすれば、取り組みが途中で挫折することなく、活用のレベルを高めていける――というのが今回、オラクルがOracle Big Data SQLの提供に際して発したメッセージだとまとめられる。
日本オラクルは、現時点ではOracle Big Data SQLの価格を未定としているが、同製品を稼働させるのに必要なエンジニアド・システム(Oracle Big Data ApplianceとOracle Exadata Database Machine)はいずれも高価な製品で、導入して恩恵を受けられる企業はかなり限られてくる。そもそも、NoSQLやHadoopは、実現したいデータ処理の特性からとられた非RDB/非SQLという選択であるはずで、ビッグデータ分析・活用を推し進めるためにこの組み合わせを新規で導入するというのはかなり遠回りな話になる。そのため、Oracle Big Data SQLは、既存の2製品をすでに導入済みのユーザーに向けた利便性向上の追加オプションととらえるのが妥当だろう。ともあれ、複数データソースの統合手段にSQLを用いて、複雑性の解消と教育コストの抑制を図るというのは、実に同社らしいアプローチだと言える。