ネットワンシステムズは2014年9月26日、米ヴイエムウェアとのOEM契約に基づき、仮想化基盤構築のためのアプライアンス製品「NetOne Integrated System Appliance for VMware EVO:RAIL」(以下、NetOne EVO:RAIL)の販売を同年10月1日より開始すると発表した。同社オフィスで行われた記者説明会では、NetOne EVO:RAILの特徴、優位性や同社の事業戦略などが語られた。
ネットワン版EVO:RAILの強みと、同社が目指すNIerの次の姿
高い技術力と豊富な構築実績が強みのネットワークインテグレーター(NIer)として知られるネットワンは、今回、NetOne EVO:RAILを投入することで、ハードウェアアプライアンス製品メーカーという新たな顔を持つことにもなる。同社執行役員・CMOの篠浦文彦氏は、「今回のヴイエムウェアとの提携そしてEVO:RAILの販売は、当社が今後、クラウドビルダー&クラウドプローカーを目指していくにあたっての第一歩となる」と説明し、SIerやNIerがこれからのクラウド時代を勝ち抜いていくうえで重要な戦略であるとした。
さて、パートナーベンダーが自社の強みを生かした“味付け”がこの製品の特徴となる。ネットワン版EVO:RAILではどのようなチューニングが施されているのか。提供にあたって同社は「仮想基盤ソリューション」と、「ワークスタイル変革ソリューション」という2つの利用シーンに向けたソリューションを用意している。
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仮想基盤ソリューションは、オンプレミス環境とパブリッククラウド環境を連携させて八イプリッドクラウドの導入と活用を促進するための基本構成だ。一方、ワークスタイル変革ソリューションでは、ネットワンがこれまで手がけてきた仮想デスクトップ環境(VDI)や各種コラボレーションツール、遠隔モニタリングサービスなどが稼働する環境を提供し、企業の生産性向上、社員のワークライフパランス確立を支援する内容になっている。なお、ハードウェア構成については、2U(約8.9cm)サイズのコンパクトな筐体を採用し、仮想サーバー100台または仮想デスクトップ250台を収容可能なキャパシティを確保している。
ネットワンならではのアドバンテージについて篠浦氏は、ネットワーク/IPの世界でトップレベルの実績を積み上げてきたことに加え、近年ニーズが急増したVMware製品に関して、導入・構築・運用に関する高いスキルや豊富なノウハウを培ってきたことがEVO:RAILの提供にあたってのバックグラウンドにあると説明。そのうえで次のように言い添えて優位性をアピールした。「簡単迅速な導入を可能とするインフラアプライアンスに我々の強みが加わる。このことで、従来スキルの問題からVMwareのような仮想化/クラウド関連製品を扱えなかったリセラーにも大きなビジネス機会がもたらされるはず。ネットワン版EVO:RAILのエコシステムを築いていきたい」
NetOne EVO:RAILの価格は最小構成3000万円からで、これには3年間保守料金も含まれる。ネットワンは年間売上目標として「2014年度で30億円」を掲げている。また、同製品の主な販売対象は、中規模から大規模の企業、官公庁・自治体およびクラウドサービス事業者。なお、クラウドサービス事業者に向けては、ヴイエムウェアがEVOファミリーの次の新製品としてすでに発表済みのラック構成モデル「EVO:RACK」の投入も検討されているという。
ハードウェア:2U/4ノード | |
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CPU(1ノードあたり) | Intel Xeonプロセッサー E5-2620 v2(2.10GHz, 6コア)×2 |
メモリ(1ノードあたり) | 192GB |
NIC(1ノードあたり) | 10GbE×2、1GbE×1(管理用) |
ディスク | 14.4TB HDD、1.6TB SSD(リード/ライトキャッシュ用) |
ソフトウェア | |
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仮想環境設定ソフト | EVO:RAIL Deployment Configuration and Management |
ストレージ仮想化ソフト | VMware Virtual SAN |
サーバ仮想化ソフト | VMware vSphere |
仮想環境管理ソフト | VMware vCenter Server Appliance |
ログ管理・解析ソフト | VMware vCenter Log Insight |
NetOne EVO:RAILの仕様・ソフトウェア構成(出典:ネットワンシステムズ)