アクセンチュアは2015年4月8日、IT分野の重要なトレンドについてまとめた年次レポート「Technology Vision 2015」の説明会を開催した。最新となる2015年版レポートでは「デジタルビジネスの中で業界の垣根を越えたパートナーシップを結び、“We Economy”で成功を収める時代だ」との提言がなされた。
アクセンチュアのTechnology Visionは、各国の企業・組織のCIO/ITリーダークラスへのヒアリングを基にITトレンドの動向を分析したレポートだ。2015年版では、同社の顧客となるITエグゼクティブや外部のアドバイザリーボードとして迎えた業界識者など、2000人以上を対象に調査が行われた。アクセンチュアは、Technology Visionを2006年から毎年公開しており、2013年版では「すべてのビジネスがデジタルになる」、2014年版では「デジタル化時代の創造的破壊者となるべきだ」との見解を示していた。
デジタルビジネスの時代に成功のカギを握る“We Economy”
レポートの監修を務めた、同社 グローバル・テクノロジー R&D担当 マネジング・ディレクターのプリス・バネルジー(Prith Banerjee)氏によると、2015年のキーワードは“We Economy“になるという(写真1、2)
「これまで企業は自社や自社の顧客を中心に考えた“Me Economy“、つまり個々の経済に基づいた独自運営を行ってきた。だが、今後は企業間や業界間の垣根を越えてパートナーシップを構築する“We Economy”にシフトしていく」と同氏は説明し、デジタルビジネスの時代においては、We Economyにフォーカスすることが成功のカギとなるとした。
続いてバネルジー氏は、We Economyに向けた5つのトレンドを解説。その5つとは、「The Internet of Me」(“個客”体験をもたらすインターネット)、「Outcome Economy」(成果を売る経済)、「The Platform (R)evolution」(プラットフォームの改革と進化)、「Intelligent Enterprise」(インテリジェントな企業)、「Workforce Reimagined」(ワークフォースの再考)だ(写真3)
The Internet of Meについてバネルジー氏は、「今後10年でさまざまなデバイスがつながり、情報を共有することになる。企業は個人レベルにパーソナライズされたきめ細やかなサービスが提供できるようになるだろう」と解説した。
Outcome Economyについては、「IoT(Internet of Things)にはハードウェアが必要だが、ハードウェアを売るのではなくそこから生まれるサービスを売る。つまり、製品ではなく成果を売る経済へとシフトしていく」とした。
The Platform (R)evolutionについては、アップルのiOSやグーグルのAndroidなどのモバイルプラットフォームを例に挙げ、「こうしたプラットフォームを構築することで、市場を進化させることができる。プラットフォーム上でさまざまな企業が付加価値を提供できるためだ」と説明する。
Intelligent Enterpriseについては、「IoTによって集められた大量のデータは、人間では分析しきれない。マシンラーニングやディープラーニングなどルールに基づいた自動化によって企業はIntelligent Enterpriseへと成長し、すぐれた意思決定ができるようになる」とした。
さて、こうした自動化が進むと人間の仕事がなくなるのか。「決してそんなことはない」とバネルジー氏。Workforce Reimaginedとは、人とマシンが共に働くことだとバネルジー氏は説明、「デジタルテクノロジーをフル活用するには、デジタルワーカーとロボットなどのマシンが一緒に働く必要がある。人とマシンが一緒に働くことで、より大きな価値が生まれるのだ」とした。