リアル店舗を中核に衣料品の小売を展開するAOKIは、基幹業務システムの稼働基盤を刷新し、クラウドを中核とする運用体制に切り替えた。システムの規模や性能を必要に応じて速やかに最適化できるようにし、“個客対応”を重視する戦略を支える。NECが2015年11月2日に発表した。
ファッショントレンドの多様化、ECショップの台頭、海外メガブランドの参入…。様々な要因が重なって、リアル店舗を基軸に展開するアパレル小売の業界各社は厳しい市場競争を強いられている。収益力を高める策としては、1人でも多くの顧客に来店してもらい、好みなどに応じた手厚い接客によって1回あたりの購買額を少しでも高めることなどが挙げられる。
郊外を中心に展開する「AOKI」と、ショッピングセンターを中心に展開する「ORIHICA」という2つのブランドを全国に700店舗以上展開するAOKIは、前述の問題意識の下で、業務改革を急いでいる。“個客”に最適化した施策を打つ上で欠かせないのがデータの活用であり、IT部門の主導によって、ここ数年で着々とシステム整備を進めてきた(関連記事:AOKI、HTML5+Ajax+インメモリーでサクサク動く業務システム増殖中)。ポイントカードやメールマガジンなど、チャネルごとに分散していた顧客データベースを一元化。チャネルごとの顧客の動きを分析できるようにした取り組みは、その典型例である。
改革の一貫として同社はさらに、顧客情報の管理・分析や、スマートフォン向けアプリの提供、販売管理などを担う基幹業務システムを稼働させる基盤を見直し、クラウドを中核とする運用体制に移行した。経営分析のスピードアップや顧客とのリレーション強化のみならず、事業拡大に応じた柔軟なシステム拡張、新たなサービスの迅速な提供などを狙った措置だ。
IT基盤として採用したのは、NECの「NEC Cloud IaaS」と「ハウジングサービス」。顧客管理・販売管理用のアプリケーションサーバー/Webサーバーは、システムや性能の拡張性を考慮して「NEC Cloud IaaS」上で運用。データベース領域やその分析、POSといったシステムは、多様な要件に対応しやすいハウジングサービス上で運用する。
これらのシステムは、クラウド基盤とハウジング間で連携しながら稼働する。また、「NEC Cloud IaaS」のセルフサービスポータル型の管理機能を利用し、AOKIが必要に応じて仮想サーバーやストレージといったリソースを追加できるようにしている。
【プロジェクトの概要】 | |
ユーザー名 | AOKI |
事業内容 | アパレル小売 |
導入システム | 基幹業務システムを稼働させるIT基盤 |
導入目的 | 顧客分析にもとづいた接客施策など、一連の基幹業務システムを柔軟に運用するため |
主な利用製品 | 「NEC Cloud IaaS」と「ハウジングサービス」(NEC) |