[ベテランCIOが語る「私がやってきたこと、そこから学んだこと」]
なぜ積水化学では電子メールからグループウェアまで内製したのか
2016年8月2日(火)寺嶋 一郎(TERRANET代表/IIBA日本支部代表理事)
前回は、積水化学の情報システム部長に就任して行ったIT部門の構造改革をお伝えした。今回は、「Smile」という名称で全社員が使う電子メールやグループウェアなどの情報系基盤をオープンソースソフトウェア(OSS)を活用して自社開発した経緯をお伝えする。何かを読み取っていただければ幸いである。
国内大手のITベンダーと組んで2社のIT子会社を合併、新たな合弁会社を作ってから、様々な改革を行った。高コスト体質の改善に向けてまず手を付けたのは、どんぶり勘定だった利用部門とのお金のやり取り。サービス内容に見合った費用を払うSLA(サービスレベルアグリーメント)と呼ばれる契約を結んだ。

どんな内容の仕事にいくらの費用を払うかを見える化し、半年に一度、契約内容を見直すことにしたのだ。利用部門はお金に関わることなので、減額は歓迎するが、増額はまかりならないということで、そう簡単には進まない。すったもんだしながらも、スタートさせることを優先し、時間をかけて徐々にリーズナブルな契約に変えていくことにした。
例えば、以前はIT子会社がコンピュータのハードやソフトの資産を持ち、積水化学に一式月額いくらでレンタルする形をとっていた。これでは原価が分からないし、コストの内訳が見えない。そこで資産は積水化学が持ち、運用をIT子会社に委託する形に少しずつ変えていった。そうすることによりIT子会社の既得権益とも言えた費用を透明化しながら、納得のいくコストに近づけていった。
一方、IT子会社には、常駐しているパートナー会社に過度に依存せず、システムはできるだけ内製をする方向に舵を切ってもらった。プログラマーが主体のアイザックと合併することで、自ら手を動かしプログラムを作る文化に変えることで、高コスト体質からの脱却を目指したのだ。
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 3
- 次へ >
- 次世代のIT部門のリーダーに向けて伝えたいこと(2017/04/03)
- デジタルビジネス時代を迎えてIT部門の向かうべき方向(2)(2017/03/06)
- デジタルビジネス時代を迎えてIT部門の向かうべき方向(1)(2017/02/03)
- モノづくりのIT基盤と今後の製造業の向かうべき方向(2017/01/05)
- 情報系基盤のクラウドへの移行、大臣表彰など外部から高く評価される(2016/12/01)
-
AI時代の“基幹インフラ”へ──NEC・NOT A HOTEL・DeNAが語るZoomを核にしたコミュニケーション変革とAI活用法
-
加速するZoomの進化、エージェント型AIでコミュニケーションの全領域を変革─「Zoom主催リアルイベント Zoomtopia On the Road Japan」レポート
-
14年ぶりに到来したチャンスをどう活かす?企業価値向上とセキュリティ強化・運用効率化をもたらす自社だけの“ドメイン”とは
-
-
-
-
生成AIからAgentic AIへ―HCLSoftware CRO Rajiv Shesh氏に聞く、企業価値創造の課題に応える「X-D-Oフレームワーク」
-
-
-
「プラグアンドゲイン・アプローチ」がプロセス変革のゲームチェンジャー。業務プロセスの持続的な改善を後押しする「SAP Signavio」
-
BPMとプロセスマイニングで継続的なプロセス改善を行う仕組みを構築、NTTデータ イントラマートがすすめる変革のアプローチ
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-





