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PCがサービスとして利用可能に?「HP Device as a Service」の本気度

2016年8月19日(金)田口 潤(IT Leaders編集部)

クライアントPCに関わる一切をサービスとして提供する。企業は月額固定の料金を支払うだけでいい−−。こんなコンセプトのサービスを日本HPが開始すると発表した。「サービス内容次第ではクライアントPCの調達や運用、廃棄に関わる業務を大きく変える可能性がある」。こんな期待を持って発表会に参加したが、説明を聞くと今一歩で、改善の余地が大きいと感じた。

 日本HPが始める「HP Device as a Service」(HPの固有名詞)は、PC本体の調達や運用に関わる管理業務全般を、定額のサービスとして提供するもの。つまり企業はPCを所有する必要がなく、キッティングや故障時の入れ替え、PCに係わるヘルプデスク、廃棄なども日本HPに任せられる。同社の九嶋俊一 執行役員パーソナルシステムズ本部長は、「当社はPCメーカーであり、日本に工場を持っている。だからOSやアプリケーションのインストール、タグ付け、あるいは故障時の保守サービスなどを工場クオリティで提供できる」と話す。

 ここまでPCと書いてきたが、実際にはモバイルデバイスやシンクライアント、POS端末など同社が提供するデバイス全体が対象である。調達の計画から設定、データの移行などの展開、保守、廃棄までを日本HPが担う(図1)。どれ1つとっても、やっかいな業務だけに、外部サービスを利用できるのは大きな利点だろう。しかもHPは世界170カ国で事業展開しているだけに、海外に拠点を持つグローバル企業へのサービスも可能だとしている。

図1:「HP Device as a Service」の全体像。ここから必要なものを選んで契約する図1:「HP Device as a Service」の全体像。ここから必要なものを選んで契約する
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 日本HPが挙げるユーザー企業から見たサービスの利点は図2のとおりだ。「1台のPCは安価でも全社員分となると入れ替え費用は高額になる。これに対し月額固定のDevice as a Serviceなら、クライアント機に関わる費用を平準化できる。平均4.8年とされるPCの利用期間も、部門や用途、機種によって事前に利用期間を設定するので、陳腐化のリスクも低減できる」(九嶋氏)。

図2:HP Device as a Serviceが提唱するPCサービス化のメリット図2:HP Device as a Serviceが提唱するPCサービス化のメリット
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 ここまではいいのだが、今一歩のところもある。まず「○○ as a Service」という以上は、最新機能(機種)をいつでも使える印象があるがそうではない。上記の「陳腐化リスクの低減」も、あくまで事前に検討し、期間を設定しての範囲内にすぎない。サービスという以上、明確であることが期待される月額固定料金も「企業との契約の上で決まることなので、標準的な料金もコメントできない」(同社)とする。

 契約期間の縛りもある。「厳格ではないが最低2年、通常は3年から5年契約で、適宜更新する」形になるのだ。ハードウェアだけに仕方ない面もあるが、一方でグローバルに販路を持ち、膨大な顧客を抱えるHPであれば、料金を多少高くしても常に最新機種を使えるメニューも用意して欲しいところだ。この点について同社は「契約の中で、そうしたサービスは締結できる」とするものの、標準メニューであるかどうかは結構、大きな違いといえるだろう。

 つまり現時点でのHP Device as a Serviceは、クラウドサービス型のモデルというよりは、サポート契約込みのPCリース、あるいはPC運用のアウトソーシングサービスに近い。この点については「契約期間、解約条件などを合意する必要があるので、確かにリースに近い。だが、機器だけではなく保守サポートなどを含めたサービス全体として契約する点はリースにはない利点。保守や保険を個別に契約するよりも費用を圧縮できるし、平準化できるのはリースにない利点だ」としている。

 なおこのサービス、米HPはすでに提供済み。独SiemensやThe Coffee Bean & Tea Leaf、あるいは日本の鈴木自動車のインド法人であるMaruti Suzukiなどが採用したという。

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