2016年8月の3本:MicrosoftがWindows 10を大幅に機能強化/IBMとWorkdayがクラウド事業で提携/国内のランサムウェア被害が前年比7倍に急増
2016年9月6日(火)松岡 功(ジャーナリスト)
2016年8月のニュースから松岡功が選んだのは、「米MicrosoftがWindows 10を大幅に機能強化」「米IBMと米Workdayがクラウド事業で戦略的提携」「国内のランサムウェア被害が前年比7倍に急増」の3本である。
米IBMと米Workdayがクラウド事業で戦略的提携
米IBMと、財務・人事管理のSaaS(Software as a Service)を提供する米Workdayが2016年8月15日(米国時間)、戦略的提携を結び、その一環としてWorkdayがIBMのIaaS(Infrastructure as a Service)を採用したと発表した。
Workdayはこれまで、IaaSには米AWS(Amazon Web Services)のサービスを利用してきた。まずは開発・テスト環境の基盤としてAWSからIBMのIaaSに乗り換えた。ただWorkdayは、開発・テスト環境としてだけでなく、長期的には幅広い用途に利用していく意向を示している。次の段階では財務・人事管理アプリケーションの動作環境もIBMのIaaSへ移行するものと推測される。
一方、IBMは今回の戦略的提携により、WorkdayのSaaS向けコンサルティングサービスをグローバルに展開するとともに、Workdayの人事管理を自社にも適用していくとしている。Workdayにとっては、非常に強力なパートナーでありユーザーを獲得したことになる。
[選択理由]
SaaSベンダーがIaaSを乗り換える動きは、利用企業にすれば、導入したSaaSを継続して安定的に利用できるか、今後のマルチクラウド環境での利用に対応できるかなどの観点から、しっかりと把握しておきたい要素だからだ。2016年5月には、米Salesforce.comが主要SaaSのインフラを自前からAWSのIaaSに乗り換えたことが話題になった。
Workday同様に、日本のSaaSベンダーがIaaSを乗り換えた事例としては、Web会議サービスなどを提供するブイキューブや、MDM(Mobile Device Management)サービスを展開するアイキューブドシステムズが挙げられる。いずれもAWSからMicrosoft Azureに乗り換えた。同時に両社は、日本マイクロソフトと戦略的提携を結び、互いのサービスの連携を図っている。こうしたIaaS上でのサービス連携にも利用者視点から注目しておきたいところだ。
国内のランサムウェア被害が前年比7倍に急増
トレンドマイクロが2016年8月24日、2016年1〜6月に発生したサイバー攻撃の動向をまとめた報告書を公表した。それによると、国内におけるランサムウェア(身代金要求型マルウェア)の被害報告件数が前年同期比で約7倍に急増していることが分かった。
実数では、国内の法人・個人ユーザーにおけるランサムウェア感染と、それに伴うデータ暗号化の被害報告件数が1740件に上った。図3は、2015年1月から四半期ごとの被害報告件数の推移を示したものである。
図3:国内におけるランサムウェア被害報告件数(トレンドマイクロの個人・法人向けサポートセンターへのランサムウェアに関する問い合わせ数)の推移(出所:トレンドマイクロの資料)拡大画像表示
新たなランサムウェアも継続的に発見されている。2016年1〜6月には世界で79種の新種のランサムウェアを確認したとしている。この数は2015年の1年間に登場した29種の2.7倍に当たる。1〜6月に国内で検出されたランサムウェアのうち、半数以上が2016年に登場した新しいランサムウェアであることも判明したという。
[選択理由]
ランサムウェアは、今もっとも猛威を振るっているサイバー攻撃であることを法人・個人ユーザーにかかわらず、しっかりと認識しておかなければならないからだ。トレンドマイクロによると、サイバー犯罪者はランサムウェアを「金銭的利益を得るための有効な攻撃手段」として明確に認識しているという。
当初、ランサムウェアには有効な対処法がなかった。だが、ここにきてトレンドマイクロをはじめとしたセキュリティベンダー各社が対応ソフトウェアの提供を始めている。まずは他の脅威に対するのと同様、最新のセキュリティ対策を施すことが肝要である。ただし、対症療法にならぬよう、あらゆるセキュリティの脅威に対し総合的な取り組みが必要なことも忘れてはならない。
筆者プロフィール

松岡 功(まつおか・いさお)
ジャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT」の3分野をテーマに、複数のメディアでコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)などがある。
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