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セイコーエプソンが業務システムをクラウドに移行、リソース準備期間を数カ月から1日に短縮

2016年9月9日(金)笹田 仁(IT Leaders編集部)

セイコーエプソンは社内に分散する100以上のシステムを統合するために、クラウド環境へ移行した。多種多様なシステムのそれぞれの特性に合わせて仮想サーバー、物理サーバー、ハウジングサービスを使い分けたのが特徴。プロジェクトを支援したNECが、2016年9月7日に発表した。

 インクジェットプリンターやプロジェクターで大きなシェアを持つセイコーエプソン。近年はゴルフのスイングを解析する機器や、人間の脈拍や活動量を計測する腕時計型の機器などインターネット上のサービスと連携する機器の開発にも力を注いでいる。

 情報システム部門では、よりビジネスに貢献できるシステムを立ち上げていくために、システムの維持管理コスト削減に取り組んできた。具体的には社内に分散しているシステム(サーバー)の統合・集約を進めていた。しかし、オンプレミスで稼働させていてはサーバーの集約にも限界がある。さらにコストを削減するためにクラウドへの移行を決断したわけだ。

 また同社は最近、インターネット上のサービスと連動する機器の販売を始めている。先に説明したゴルフのスイングを解析する機器や活動量計などのことだ。このような新しいサービスのためのコンピュータリソースを迅速に用意できる環境が必要になっていたという事情もある。

 システムの移行は、既存システムを稼働させながら進めることになった。100種類以上、サーバーの台数にして300以上になるシステムをすべて止めることができれば、3~4日で移行できるという試算もあったが、数日間にわたってすべてを止めることはできないと判断した。

 移行に当たっては、システムの性格に合わせて仮想サーバー、物理サーバー、ハウジングサービスを使い分けた。具体的には製品の設計情報などを管理するPLM(Product Lifecycle Management)などのシステムは仮想サーバーに、販売、人事などの基幹システムは物理サーバーに移行し、ファイアウォールなどのセキュリティ対策のアプライアンスはハウジングサービスを利用することにした。

図 移行後のセイコーエプソンのシステム全体像(出典:NECのプレスリリースより)
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 仮想サーバー、物理サーバー、ハウジングサービスを必要に応じて使い分けられるサービスという条件で様々なサービスを比較検討した結果、NECが提供する「NEC Cloud IaaS」を利用することを決定。移行は予定通り1年半で進み今年3月31日に完了させた。

 移行の結果、システムの運用管理コストを約20%削減できた。さらに、新しいシステムのためにコンピュータリソースを用意するのにかかる時間を劇的に短縮できた。移行前は数カ月かかっていたが、移行後は1日で済むようになったという。

【プロジェクトの概要】
ユーザー名 セイコーエプソン
事業内容 製造業
導入システム 全社的に使うIT基盤のクラウドへの移行
導入目的 ITリソースの迅速な調達や柔軟な拡張を実現する
主な利用製品 NEC Cloud IaaS


 

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製造 / エレクトロニクス / IaaS / NEC

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