米Salesforce.comは2016年9月19日(米国時間)、SalesforceのユーザーにAI(人工知能)の機能を提供する「Salesforce Einstein」を発表した。営業、カスタマーサービス、マーケティングなどの現場にAI機能を提供するほか、強化した予測分析によってパーソナライズした顧客体験を提供できるように支援する。
「Salesforce Einstein」は、企業が営業やカスタマーサービス、マーケティング、コマースなどの現場で、予測分析に基づき的確にパーソナライズされた顧客体験を提供できるようにする。Salesforceプラットフォームの各種項目・オブジェクト・ワークフロー・コンポーネントにAI機能を組み込める。顧客との対話を賢く処理するAIベースのアプリケーションを、クリックやコーディングで容易に開発できる。
予測モデルのトレーニングでは、Salesforceの様々なデータを利用する。顧客データのほか、同社の企業内ツイッター「Chatter」、メールやカレンダー、eコマースの活動データ、ツイートや画像などのソーシャルデータストリーム、IoT(Internet of Things)のシグナルも利用できる。
「機械学習」「Deep Learning(深層学習)」「予測分析」「自然言語処理」「スマートなデータディスカバリー」を基盤にしており、1人ひとりの顧客に合わせてモデルを自動でカスタマイズできる。これらのモデルは、対話を行いデータを追加するたびに学習とセルフチューニングを実行し、正確性を高めていく。関連する知見を自動探索し、将来の行動を予測して、次に実施するべきアクションを事前に提案するほか、各種のタスクを自動処理する。
Salesforceの開発者とシステム管理者は、日常的に使っているツールでAIベースのアプリケーションを迅速に開発できる。管理者は、さまざまなオブジェクト・ページレイアウト・ワークフローにSalesforce Einsteinベースの項目が組み込まれたアプリケーションを数クリックですばやく構築可能になる。データサイエンティストや開発者は、Deep Learningモデルをトレーニングし、画像の識別・分類に加え、テキスト内の感情も識別・分類することが可能だ。カスタムの予測モデルを構築し、アプリケーションに組み込むこともできる。
また、Salesforce.comは、新組織である「Salesforce Researchグループ」を設立することも発表した。データサイエンス研究者とデータサイエンティストで構成されるチームで、Deep Learningや自然言語処理、コンピュータービジョンといった分野におけるAI研究の成果を、同社の製品やエンジニアリングチームに提供していくとしている。