[松岡功が選ぶ“見逃せない”ニュース]

2017年4月の3本:経産省とコンビニ5社が「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」/日本オラクルと新日鉄住金ソリューションズがクラウド事業で協業/日本企業のAI導入率は1.8%

2017年5月9日(火)松岡 功(ジャーナリスト)

2017年4月のニュースから松岡功が選んだのは、「経産省とコンビニ5社が『コンビニ電子タグ1000億枚宣言』」「日本オラクルと新日鉄住金ソリューションズがクラウド事業で協業」「日本企業のAI導入率は1.8% ――MM総研調査」の3本である。“見逃せない”理由と共に、それぞれのニュースのポイントをお伝えする。

 これにより、基幹システムで高いシェアを持つオラクル製品を利用したシステムをクラウド環境へ移行する際に、従来より柔軟なシステム構成を組むことができるため、基幹システムのクラウド移行を強力に支援することが可能になったとしている。

[選定理由]

 日本オラクルがクラウド事業を、国内で本格的に展開し始めたことを象徴する動きだからだ。この動きは、日本オラクルが前日(4月24日)に、Oracle Cloud関連事業で国内のIT企業14社と新たなパートナープログラムに基づく協業を発表したのがきっかけとなっている。

 新たなパートナープログラムにはNSSOLのほか、アクセンチュア、伊藤忠テクノソリューションズ、SCSK、TIS、東芝、NEC、日立製作所、富士通など、これまでオラクル関連事業を推進してきた有力企業が名を連ねている。つまり、日本オラクルにとってはこれまでと同様のパートナーエコシステムを、クラウド事業でも推進する態勢が整ったわけである。

 クラウド事業の展開では、競合他社に対して立ち後れたとも言われるオラクルだが、基幹システムのクラウド移行へ動きが本格化するのはまさにこれから。同社にとってはまず既存顧客にしっかりと対応することが急務となる。態勢が整ったオラクルが、これから思惑通りに存在感を高めていけるか、注目される。

日本企業のAI導入率は1.8% ――MM総研調査

 MM総研が2017年4月25日、企業におけるAI(人工知能)技術のビジネス活用状況について、日本、米国、ドイツを比較した調査結果を発表した。それによると、日本企業がAIをビジネスに導入している割合は1.8%となり、同様の調査による米国の13.3%、ドイツの4.9%と比べると、後れを取っている状況が明らかになった。

 AIの導入を検討中と答えた企業の割合は、日本が17.9%、ドイツが22.4%、米国が32.9%。導入済みおよび導入検討中を合わせると、米国は46.2%と半数近くになり、AIのビジネス活用が最も進んでいる結果となった。(図1

図1:日米独の企業におけるAIの導入状況の比較(出典:MM総研)
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 日本市場の業種別導入率を見ると、金融業が7.8%、情報通信業が6.9%と、この2業種が先行して導入していることも分かった。なお、同調査は、日本(予備調査8797人、本調査2000人)、米国(予備調査1071人、本調査500人)、ドイツ(予備調査1631人、本調査500人)のビジネスパーソンを対象に、2017年3月2~16日にウェブアンケート方式で実施されている。

[選定理由]

 「1.8%」という数字が強く印象に残ったからだ。こうした調査結果は質問の仕方によっても変わってくるので、なかなか実態を捉えづらいところもあるが、本調査における1.8%という結果を見ると、日本企業におけるAIのビジネス活用はまだまだこれからという印象を強く持った。米国やドイツに後れを取っていることも、しっかりと認識しておく必要がありそうだ。

 MM総研では、今後、AIの世界市場が成長・成熟していく中で日本企業が戦っていくためには、「データサイエンティストなどのAI人材をどう確保していくか」「これまで蓄積してきたノウハウとAIを組み合わせてどのようにビジネスの課題を解いていくか」が問われるとしている。

 いずれにしても、AIのビジネス活用はこれからなので、こうした調査結果を問題提起や課題解決に生かしたいものである。


●筆者プロフィール
 

松岡 功(まつおか いさお)
ジャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT」の3分野をテーマに、複数のメディアでコラムや解説記事を執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)などがある。

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