[市場動向]
IBMとHortonworksがデータサイエンス分野で提携強化、「IBM Data Science Experience with HDP」を提供へ
2017年6月15日(木)五味 明子(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)
IBMとHortonworksは2017年6月13日(米国時間)、米サンノゼで開催中のHortonwroksのプライベートカンファレンス「DataWorks Summit/Hadoop Summit」において、データビジネスにおける両社のパートナーシップを強化していくことを発表した。現地から、その概要を報告しよう。
IBMは今後、同社の公式Hadoop製品として「Hortonworks Data Platform(HDP)」を提供し、既存のHadoop製品である「IBM BigInsights」のユーザーに対してはHDPへの移行を進めていくことになる。一方、HortonworksはHDPに「IBM Data Science Experience」を搭載した製品を再販する。両社はさらにHDPに「IBM Big SQL」をバンドルした製品の開発を共同で進める意向も明らかにしている。
Dataworks Summitで発表されたIBMとHortonworksのパートナーシップ強化拡大画像表示
IBM Data Science Experienceでサポートするプロダクト一覧。これらにフォーカスするためにBigInsightsから手を引き、HDP上へと移行する拡大画像表示
「データサイエンスのあり方は大きく変わりつつある。いまやデータサイエンスはチームスポーツだ。そしてIBMにとってデータサイエンスは非常に重要な注力分野でもある」──。Dataworks Summitに登壇した、IBM アナリティクス部門 ジェネラルマネージャのロブ・トーマス(Rob Thomas)氏は会場にこう訴えた。
「データサイエンスはチームスポーツ」と話すIBM Analyticsのロブ・トーマス氏今回の発表は、IBM製品との親和性が高いHDPをデータプラットフォームとして選ぶことで、IBMのリソースをデータサイエンス部門により集中させる方針を明らかにしたといえる。自社で開発してきたApache HadoopベースのBigInsightsをある意味、“捨てる”というのはかなり大きな決断に見えるが、トーマス氏は「(今回の提携は)我々にとって非常にロジカルな流れで進んできた。HDPを選んだことで、IBMは今後さらにデータサイエンス、そしてマシンラーニングに注力できるようになる」と、戦略上、必然的な選択であったことを強調している。
よりマシンラーニングとデータサイエンスに強化するために土台となるHadoopプラットフォームとしてHDPを選択したIBM。今後はHDP上でデータガバナンスやツールの統合を図っていく拡大画像表示
HortonworksのビアデンCEOHortonworksにとっても今回の提携のメリットは多く、特にData Science ExperienceをHDPに統合して提供できるようになる点は大きい。現在、HortonworksはHDPと共にストリームデータのオーケストレーションを行う「Hortonworks DataFlow(HDF)」をメインの製品として提供しているが、今後はさらにデータサイエンス製品として「IBM Data Science Experience with HDP」として顧客に提供できるようになる。HortonworksのCEOであるロブ・ビアデン(Rob Bearden)氏は「IBM Data Science Experience with HDPは我々にとって戦略的なデータサイエンスプラットフォームとなる。HDPおよびHDFのユーザーにこの製品を届けることができることは非常に喜ばしい」と語っている。
HortonworksとIBMのパートナーシップ強化は過去にもさまざまな形で実現してきた。HDPによるPower8のサポートなどはその一例である。したがって、今回の提携はこれまでの友好的なパートナーシップの延長線上として見れば、それほど大きな驚きはない。トーマス氏の言葉を借りれば、データサイエンスの世界だけでなく、データビジネスの世界でもそれぞれのプレーヤーが得意な役割に集中する“チームスポーツ”化が進んでいるのかもしれない。
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