Robotic Process Automation(RPA)は、今やIT界隈のみならず「働き方改革」を推進する上での特効薬としてさまざまな方面から注目を集めている。それでは、RPAを導入すれば働き方改革が実現できるのかというと、そんな簡単なものではないらしい。一口に「RPA」といっても、いくつかの種類が存在し、その効果は異なるからだ。RPAへの造詣が深い三菱総研の佐々木康浩氏と、RPAツールを提供するデリバリーコンサルティングの関貴士氏が、導入を検討している企業が知っておくべきRPAがもたらす真のメリットを紹介する。
ソフトウェアロボットによる業務の自動化、RPAへの関心が高まっている。その背景にあるのは、ホワイトカラーの生産性がなかなか向上しないという、もどかしい実状を打破できるのではという期待感だ。
ホワイトカラーの生産性を向上させるものとして、ITが業務に導入され、オフィス・オートメーションが普及して来た。しかし、その結果は当初目論んでいたようにはなっていない。深夜までPCと向き合い、エクセルなどの表計算ソフトと格闘する姿が未だに珍しくないことは読者の多くが実感できるだろう。手間ひま掛かって、ルーチンワークにも思えるような作業に対処しなければならない時などは誰しもウンザリするし、ITは本当に我々をハッピーにしてくれるのかという疑問も湧いてくる。RPAには、こうした事態を抜本から変えてくれるのではとの期待がかかっているわけだ。
欧米では、主にBPO(Business Process Outsourcing)の代替などで大きな成果を上げている。例えば米国のメガバンクでは、インドにアウトソーシングしていたバックオフィス業務をRPAに置き換えることで、大幅な人員削減に成功している。
そこでは、これまでワークフローに沿って人間が判断していた処理が、RPAというシステムに置き換えられている。帳票をデジタル化してOCRで数値データを取り出し、開発したアルゴリズムによって判断して、次の処理へと繋いでいく。生産ラインでロボットが人間の代わりに部品を組み立てるようなイメージだ。
このアプローチをホワイトカラーの業務に幅広く適用すれば、大幅に生産性を向上させることができるのではないか、と考えるのは当然だろう。人間の代わりにロボットにコンピュータの操作を任せるというのは、理にかなっている。
RPAへの関心は、ここ1、2年で急速に高まりつつあり、多くのベンダーからRPAツールが提供され、実際に導入が進んでいる。ERPの入力支援などに使われるケースも増えている。しかし、ツールには当然、得手不得手がある。目的に応じて使い分けなければならないのはRPAの世界でも変わらない。まずそのことを認識すべきだろう。
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