NECは2018年1月9日、英Northgate Public Services(NPS)の買収を発表した。同社は、英国内の警察や税・社会保障および公営住宅関連ソリューションに強みを持つソフト会社。買収額は4億7500万ポンド(約713億円)。
Northgate Public Services(NPS)の事業の三本柱は、警察向けソリューション事業、中央・地方政府向けソリューション事業、公営住宅向けソリューション事業で、いずれも英国内で高いシェアを保持している。
警察向けソリューション事業では、犯罪事案管理プラットフォームの「CONNECT」がシェア29%、自動ナンバープレート読取システム「Falcon-i」の1日あたりの読み取り数が470万台、違反処理システム「PentiP」の反則金処理額が年間1.2億ポンドと、いずれも高い数値を示している。
中央・地方政府向けソリューション事業では、徴税・社会保障給付ソリューションを地方政府の45%が利用しておりシェアトップ、運輸省の大型貨物自動車の道路使用料徴収は独占している。
公営住宅向けソリューション事業では、NPSのソリューションを約200社、200万戸が利用、住宅管理ソリューション「NPS Housing」は英国シェアトップのほか、アイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで展開している。
NECでは、指紋認証や顔認証など世界トップレベルの生体認証技術を有している。これを基盤として「安全」「安心」を公共分野に提供する事業を「セーフティ事業」とし、同社が注力する社会ソリューション事業の成長エンジンに据えている。実績のある業種特化型ソリューションを持つNPSの買収は、海外でのセーフティ事業拡大戦略の一環となる。
NPSの3つの業務特化型ソリューションにNECの認証技術、AI技術を掛け合わせることで各製品の付加価値を向上させる。強化したソリューションについては、NECのグローバルマーケットへのリーチ力を活用して英国以外の国々への展開を図り、NECの海外セーフティ事業の拡大につなげたい考えだ。
新野隆社長は海外セーフティ事業について、従来の個別SI重視から、「データ」、「分析」、そしてデータを活用する「共通業務」という3つのプラットフォームを中心に据えたビジネスモデルへの転換を図っていくとしている。
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NPSの買収は海外セーフティ事業拡充施策の第一弾として、「共通業務プラットフォーム」を強化するためのものとなっている。今後も各プラットフォームを整備・強化するための協業やM&Aを積極的に推し進めていく考えだ。