HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)製品ベンダー、米Nutanixの日本法人であるニュータニックス・ジャパンは2018年6月28日、製品情報をアップデートした。米Nutanixが年次プライベートイベント「.NEXT Conference 2018」で発表した、Nutanix Beam、Nutanix Era、Nutanix Flowの3機能を説明した。
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Nutanixは、HCI製品ベンダーである。HCIとは、ストレージを内蔵したPCサーバー機に、分散ストレージソフトとサーバー仮想化ソフトを組み合わせた製品である。スケールアウト型でPCサーバー台数を増設することによってシステム規模(収容できる仮想サーバー数など)を拡張できる。
HCI製品の中での米Nutanixの特徴は、サーバー仮想化ソフトの選択肢が広いことと、動作環境の選択肢が広いことである。サーバー仮想化ソフトは、KVMベースの独自ソフト「AHV」、VMware ESXi、Hyper-Vから選べる。動作環境は、自社ブランドのアプライアンスを用意しているほか、PCサーバーベンダー各社にソフトウェアをOEM供給している。ソフトウェア単体でも販売している。
2018年5月に開催した年次プライベートイベントでは、HCIの周辺サービスとして、Nutanix Beam(マルチクラウド管理)、Nutanix Era(データベースのコピー管理)、Nutanix Flow(仮想マシンのネットワーク管理)、の3機能を発表している。Nutanix BeamとNutanix Flowは現在提供中であり、Nutanix Eraは2018年下半期中に提供する予定である。
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マルチクラウドの利用状況とコストを可視化
のNutanix Beamは、AWS(Amazon Web Services)やAzureなどの複数のクラウドを混在させたマルチクラウド環境にガバナンスを効かせるためのSaaS型アプリケーションである。仮想マシン(VM)のコストを把握できるようにする。現時点ではAWSとAzureを管理できる。今後は、GCP(Google Cloud Platform)とオンプレミス環境のNutanix(HCI)を管理できるようにする。
ダッシュボード上で、どのクラウドサービスの上で、どのようなサービスを使っていて、どれだけの費用がかかっているのか、といった状況が分かる。AWSのリザーブドインスタンスとオンデマンドインスタンスを切り替えると費用がどう変化するのかなども分かる。使っていない古いスナップショットを削除するとどれだけ費用が減るのかなども分かる。
1クリックでデータベースのコピーを作成
Nutanix Eraは、データベース管理システム(DBMS)のコピーを管理するPaaS基盤サービスである。DBMSの管理をシンプルにできるとしている。提供意図として、大手企業においてDBMSの仮想マシンが200個以上立ち上がり、データベースのコピーを20個以上作成しているなど、煩雑な管理への対処を挙げる。
Nutanix Eraを使うと、1クリックだけで、データを含まない空のデータベースをコピーした仮想マシンや、データを含めてデータベースをコピーした仮想マシンなどを作成できる。世代管理も可能で、ある時点のデータを復元するといった運用も可能である。管理対象のDBMSは、Oracle Database、PostgreSQL、SQL Sreverの3つである。
セグメント分割で仮想マシン間の通信を制御
Nutanix Flowは、仮想スイッチ(Open vSwitch)によって個々の仮想マシンのネットワークセグメントを分離するマイクロセグメンテーション機能や、ネットワークの利用状況を可視化する機能などを提供する。米Nutanixのサーバー仮想化ソフトであるAHVに含まれる機能であり、AHV環境下で利用できる。
個々の仮想マシンごとや、仮想マシンを用途ごとに分類したカテゴリごとに、ファイアウォールのポリシーを割り当ててアクセスを制御できる。ある仮想マシンからデータベースにアクセスする際にファイアウォールを経由させる定義や、インターネットにアクセスする際にパケットキャプチャ機能を持つ仮想マシンを経由させる定義などができる。