NTT東日本は2018年6月28日、AIやIoTを活用したビジネスモデルを早期に実現するための共同実証環境「スマートイノベーションラボ」を設立したと発表した。共同実証を行うパートナー企業と大学を幅広く募集している。共同実証を行うパートナー企業と大学については、実証内容などをヒアリングした上で決める。
NTT東日本のスマートイノベーションラボでは、同社が各地に保有する通信ビルやデータセンターなどを活用して、エッジ拠点での閉域ネットワークを提供する。これにより、低遅延で安全な通信環境を提供する。閉域ネットワークは、AWS(Amazon Web Services)などのパブリッククラウドやSINET(学術情報ネットワーク)と直接接続する。
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中核となるNTT蔵前ビルでは、ディープラーニングの学習を高速化するサーバー環境を配備した。GPU搭載サーバーを提供するほか、ディープラーニングの学習を高速化するミドルウェア技術「高速オプティマイザ:Adastan」を利用する。Adastanは、NTTソフトウェアイノベーションセンタが開発した技術で、従来の学習アルゴリズムと比べて約2倍から5倍高速化できるとしている。
NTT蔵前ビルではさらに、パートナー企業や大学が共同作業できるワーキングスペース「スマートイノベーションルーム」を設置する。
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予定している実証実験は、以下の通り。
パートナー企業 | 実証実験の内容 |
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埼玉県 | 埼玉県内で製造業を営む中小企業を対象に、AI導入による生産性向上効果を調査・確認するため、スマートイノベーションラボを活用する |
SOMPOホールディングス | 事業創出プラットフォーム「SOMPO D-STUDIO」で取り組むディープラーニングを活用したAI実験、および「カシャらく見積り」(他社証券等を画像撮影し読み取るアプリ)などの代理店の生産性を高めるアプリケーションなどを開発する目的でスマートイノベーションラボを活用する。AI学習の効率化には、スマートイノベーションラボで利用できるAI学習の高速化技術を活用する |
DVERSE Inc.(ディヴァース・インク) | VR空間での3Dモデルの物体認識・画像判別などによって、全国のインフラ設備の点検の自動化などを図る。また、通信の低遅延化によってアプリケーションの性能の向上を図る |
博報堂DYホールディングス | 潜在需要発掘など、生活者のホンネを理解するため、IoTなどで発生する実世界データに対してAI技術を活用する。生活者の情動反応、無意識下の行動を数値化し、博報堂DYグループが保持するマーケティングデータ基盤の拡充を図る |