NTTデータエンジニアリングシステムズは2019年6月26日、金型設計・製造業界向けのCAD/CAMシステム「Space-E」の新版「Version 5.8」を発表した。2019年8月下旬から提供する。見込み変形(プレス成形した板が成形後にはね戻る量を事前に見込んでおく形状変更のこと)の作業工数削減や、等高線仕上げ機能の強化による加工面の品質向上などを可能にした。販売目標は、1年間で100モジュール。
Space-Eは、3次元CAD/CAMシステムである。新版のVersion 5.8では、モデリング強化の1つとして、見込み変形の作業工数削減を可能にした(図1)。
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自動車プレス業界ではハイテン材(高張力鋼)のような硬度が高い材料を使用する機会が増えている。これらの材料については、設計から板取りまでトライアンドエラーを繰り返しながら金型を製作するため、作業工数の増加が課題になっている。このトライアンドエラーの作業の1つとして、CADで見込み変形の結果をプレビュー画面で確認できるようにした。さらに条件設定からの繰り返し作業を可能にしたことで、最大75%の作業を削減(Version 5.7との比較)できるようにした。
等高線加工の仕上げ機能では、傾斜面における切削幅の均一化を図った。従来は、平面に対して一定間隔で投影した経路を作成していたため、加工面の仕上がりが均一ではなく、ミガキに時間を要することもあった。Version 5.8では、傾斜面に対して一定間隔の切削幅にすることにより、加工面の仕上がりを均一にし、ミガキ時間を削減可能にした。
これらの機能のほかに、5軸加工の機能強化や、データコンシェルジュ(Manufacturing-Spaceのサービスの1つ)とSpace-Eの連携強化なども図った。