[新製品・サービス]
オンプレミスと同等の低遅延、AWSから使える量子コンピュータ─Outposts、BraketなどAWS新サービスのインパクト
2019年12月13日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2019年12月13日、説明会を開き、米AWSが同年12月初旬に開催したプライベートコンファレンス「AWS re:Invent 2019」での発表内容を紹介した。AWSの各種サービスをオンプレミスないしはユーザーに近い場所で低遅延で利用できるようにする「AWS Outposts」「AWS Wavelength」「AWS Local Zone」や量子コンピュータをAWSで利用できる「Amazon Braket」などを紹介した。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)がAWS re:Invent 2019で発表した新サービスのハイライトの1つが、クラウドサービスのAWSを低遅延で利用できるようにするサービスである。サービスの利用者に近い場所にAWSのリソースを設置するという手法によって、ネットワークの遅延時間を短くする。例えば、これまで100ミリ秒の遅延が発生していたサービスを、10ミリ秒の遅延時間で利用できるようになる。
AWSでは、利用者に近い場所にAWSのリソースを設置するサービスを、3つ用意した(図1)。AWSをオンプレミスに設置できる「AWS Outposts」、モバイル通信事業者の設備内にAWSのリソースを設置する「AWS Wavelength」、特定の地理的エリアに非常に近い場所にAWSのリソースを設置する「Local Zone」である。
AWS Outpostsは、AWSと同等のクラウド環境をオンプレミスに設置できるラック型のシステム製品である(関連記事:AWS環境をオンプレミスに設置できる「AWS Outposts」、クラスメソッドが導入支援サービス)。AWSのコンソールを使って、AWSの一部としてAWS Outpostを管理できる。システムの更新やパッチの適用も、AWSが自動で実施する。サーバー仮想化ミドルウェアは、AWSネイティブの環境のほか、VMware vSphereも利用できる。
拡大画像表示
「AWS Outpostsは、ハイブリッドクラウドの文脈ではなく、低遅延の需要を満たす選択肢の1つとして作った」と、AWSジャパンで技術統括本部レディネス&テックソリューション本部本部長/プリンシパルソリューションアーキテクトを務める瀧澤与一氏(写真1)は、AWS Outpostsの意義を説明した。
AWS Wavelengthも、低遅延でAWSを利用するためのサービスである。モバイル通信事業者の設備内にAWSのリソースを設置する仕組み。これにより、モバイル経由でAWSのサービスを利用するユーザーは、通信事業者とのモバイル通信網だけを利用し、低遅延でAWSのサービスを利用できるようになる。
AWS Wavelengthのユースケースの1つが、工場などにおけるエッジデータ処理である。AR(拡張現実)ヘッドセットなどを使った作業などを、低遅延でレスポンスよく行えるようになる。主に、5G(第5世代移動通信システム)と組み合わせた使い方を想定している。
Local Zoneは、特定の地理的エリアに非常に近い場所に、AWSのリソースを設置するものである。ロサンゼルス近郊にAWSのリソースを配置した。米国西部のオレゴンリージョンに属しており、ロサンゼルス近郊の企業は低遅延でAWSのリソースを利用できる。
●Next:AWSで利用できるようになった専用ハードウェア
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >