ソニー銀行は2020年1月20日、アマゾンウェブサービスジャパンが開催した記者発表会に登壇し、勘定系を含めた情報システム全般をクラウドに移行する方針を説明した。将来的には、コンテナやマイクロサービスなどのクラウドネイティブ技術を使った次世代勘定系システムを稼働させる。すでに、2019年秋に勘定系の一部である財務会計システムをAWS(Amazon Web Services)上で稼働済み。2020年夏には、まずは銀行業務の端末を全面的にDaaS化する。
ソニー銀行は2019年秋、勘定系システムの一部をAWS上での稼働を開始した。クラウドに映したのは総勘定元帳を管理する財務会計システムである。
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それまで手組みで構築していたシステムをERP(統合基幹業務システム)パッケージソフトウェア「Oracle E-Business Suite」(Oracle EBS)に置き換え、これをAWSの仮想サーバーに載せた。システムはAWS東京リージョンで動作させており、これをAWS大阪ローカルリージョンでバックアップしている。
勘定系を除いた周辺システムや社内情報系システムについては、2013年冬からAWSを利用しており、2019年秋に、AWSへの移行を全面的に完了したかたちだ。今回稼働開始した財務会計システムは、ソニー銀行にとって、勘定系システムをAWSに載せた最初のシステムになる。仮想サーバーのバックアップサイトとして、2018年にAWS大阪ローカルリージョンを利用できるようになったことを受けて、AWSに載せた。
ソニー銀行によると、2013年にAWSを使い始めた当初から、勘定系システムでもAWSを使いたいと考えていたという。「勘定系が求める可用性を確保するため、東京と大阪の2拠点化が必要だと、AWSに対して声を上げてきた」と、ソニー銀行で執行役員(システム企画部、システム開発部、システム管理部担当)を務める福嶋達也氏は振り返る(写真1、図1)。
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AWSは、2018年から大阪でローカルリージョンを提供してきた。2021年初頭には、大阪ローカルリージョンを拡張し、これまで1つしかなかったアベイラビリティゾーン(データセンター)を3つに増やす。これにより、大阪においても東京リージョンと同様のスタンダードなAWS国内リージョンからサービスを提供できるようにする。例えば、仮想サーバーのバックアップだけでなく、コンテナやマイクロサービスなどのクラウドネイティブ技術を東京と大阪のマルチリージョン体制で利用できるようになる。
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