「2025年の崖」とも呼ばれるレガシーシステム問題をどう乗り越えるか。 多くの企業にとって重要な課題の1つだ。課題解消に向け、精密測定機器大手メーカーのミツトヨは、スウェーデンIFSの製造業務向けERP「IFS Applications」の導入を決定した。導入・構築プロジェクトに着手し、2022年の稼働を目指す。IFSの日本法人、IFSジャパンが2020年3月26日に発表した。
マイクロメーター、ノギスなどの測定工具や光学測定機器などの大手メーカーであるミツトヨ(本社:神奈川県川崎市)。同社は国内の生産拠点における業務プロセスの標準化などを目指し、ERPアプリケーションの導入に着手した。まず販売物流領域に適用、2022年前半から順次稼働させる計画だ。
ミツトヨが選んだのは、スウェーデンのIFSが製造業務向けに提供するERP「IFS Applications」(画面1)。ミツトヨはマイクロメーターやノギスでは約90%、精密測定機器で約50%の国内シェアを持つ最大手。一方で海外売上高比率は70%に達する。売上げの多くを稼ぐ北米や中国の拠点では先行してIFS Applicationsを導入しており、利用ノウハウを蓄積していることから国内でも導入を決めた。
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プロジェクトの目的は、①営業とサービス部門における業務プロセスの統合と標準化、②国内9工場のサプライチェーンプロセスの統一、③レガシーシステムの一掃、の3つ。稼働後には9工場合計1000人超のユーザーが利用する見通しである。設立が1934年と社歴は長く、製品アイテム数も5500以上にあるだけに、プロセスの標準化やレガシー刷新が急務になっていた。
IFS Applicationsの導入に際してのインテグレーションはNECが担当する。「NECの国内における導入サポート実績、業界向けテンプレートも魅力的でした」(ミツトヨの取締役常務執行役員 江種元裕氏)という。実際、IFSは元々が製造業向けERPであり、NECのIFS導入サポート実績も、ダイフクや岡村製作所、三菱日立パワーシステムズ、スリーボンドなどB2Bの製造業向けが大半を占めている。
IFS Applications自体の詳細は、関連記事:サービタイゼーションに向けて進化したERPの最新版「IFS Applications10」が登場を参照されたい。