NECは2020年12月9日、ファクトリーコンピュータ「FC98-NXシリーズ」の新たなカテゴリーとして、過酷な現場環境を想定した「ファンレスボックスタイプ」の新製品2機種を発表した。同日販売を開始した。同年12月18日から出荷する。製造・物流・交通・農業などにおけるIoTシステムのエッジコンピュータ用途を想定している。販売目標として今後5年間で2万台を掲げる。
NECのファクトリーコンピュータ「FC98-NXシリーズ」は、工場などの過酷な環境条件(温度、電源ノイズ、振動など)で24時間365日稼働させることを想定し、耐久性や可用性を高めたコンピュータである。システムの異常を監視して障害を未然に防ぐRAS(Reliability、Avabilaility、Serviceability)機能や、長期供給・長期保守(5年供給・7年保守)サービスを提供する。
今回、新製品として「ファンレスボックスタイプ」を追加した(写真1)。ファンレス設計とすることで、粉塵の侵入を抑制した。防塵性能は、最高レベルのIP6Xの1つ下となるIP5Xに準拠する。ストレージには、可動部分がないSSDを採用した(M.2型。容量は200GBと400GBから選択)。筐体サイズは幅250.0×奥行210.1×高さ90.7mmで、既存の「省スペースモデル」(E23W、E27B、E22U)と比べて体積を約2分の1にまで小型化した。
オプションで、無線通信モジュールを用意している。無線LAN、920MHz帯特定小電力無線、3G/LTEの3つのうちのいずれかを搭載できる。無線通信機能を使って、設備の稼働状況や温度・湿度などを遠隔監視できる。さらに、センサーやIoTデバイスから収集したデータをエッジで一時処理し、必要な情報だけを転送する、といった使い方もできる。
プリインストールしているWindows10 IoT Enterprise 2019 LTSCは、機能のアップグレードがないため、同一バージョンのOSを使い続けたままシステムの長期運用が可能である。
搭載しているCPUの違いに応じて、Core i3-9100TE(2.2GHz/6MB/4コア)を搭載した上位モデルの「A22K」と、Celeron G4900T(2.9GHz/2MM/2コア)を搭載した下位モデルの「A29X」を用意した。価格(税別)は、A22Kが25万1000円から、A29Xが22万1000円からとなっている。