日立製作所は2021年3月9日、出納業務にAI-OCRを適用し、財務部門が扱う請求書と社内申請書を合わせた約5000種類の非定型帳票を自動で読み取れるようにした。同年4月から運用を開始する。さらに、財務システムにBRMSを適用し、読み取った請求書と社内申請書を自動で照合できるようにした。これらにより、年間25万件に及ぶ出納業務において、帳票データの読み取り・照合にかかっていた作業時間を、1万4500時間から7400時間に短縮できると見込んでいる。
日立製作所は、2021年4月から、出納業務にAI-OCRを適用する。これにより、財務部門が扱う請求書(約4800種類)と社内申請書(約200種類)を合わせた約5000種類の非定型帳票を自動で読み取る。さらに、財務システムにBRMS(業務ルール管理システム)を適用し、読み取った請求書と社内申請書を自動で照合する。
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これらにより、年間25万件におよぶ出納業務を省力化する(図1)。日立の見込みでは、帳票データの読み取り・照合にかかっていた作業時間は、従来の年間1万4500時間から7400時間に短縮できる。削減時間は7100時間であり、作業時間は約半分になる。
AI-OCRでは、約4800種類の請求書と約200種類の社内申請書を、帳票の種類によって分類する。この上で、読取位置を指定したテンプレートを使って、「消費税額」「課税対象額」「口座名義人名」などの項目を自動的に読み取る。
AI-OCRではさらに、読み取り結果が正しいかどうかを「確信度」として数値化し、誤認識である可能性の高いデータを仕分ける。これにより、財務担当者は、全件を1つ1つ目視で確認してデータを入力する必要がなくなる。
一方、BRMSでは、財務担当者が社内規定に沿って判断してきた複雑な業務ロジックを登録し、財務システムに適用する。これにより、読み取った請求書と社内申請書を自動で照合する。照合結果で不備と判定した申請内容だけを財務担当者が確認することで、確認業務を効率化できる。