[事例ニュース]

KDDI、複数のAIが協調して基地局パラメーターを自動設定する「エリア最適化技術」を開発

通信品質の安定性を25%改善、手動での最適化作業期間を95%以上短縮

2026年2月18日(水)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

KDDIとKDDI総合研究所は2026年2月18日、通信品質の向上を目的に、基地局の動作に影響するパラメーター設定を複数のAIが協調して自律的に最適化する技術を開発し、一部エリアの基地局に先行導入したと発表した。高度に自律化したネットワーク基盤「AI for Network」の取り組みの一環であり、2026年度中に全国の基地局へ順次導入する。先行導入エリアでは、低速通信が発生しやすい場所を25%改善したほか、最適化の作業期間を95%以上短縮できることを確認した。

 KDDIとKDDI総合研究所は2026年2月18日、通信品質の向上を目的に、基地局の動作に影響するパラメーター設定を複数のAIが協調して自律的に最適化する技術を開発し、一部エリアの基地局に先行導入した。

 両社が研究開発を行っている、高度に自律化したネットワーク基盤「AI for Network」の取り組みの一環であり、2026年度中に全国の基地局へ順次導入する。先行導入エリアでは、低速通信が発生しやすい場所(5Mbit/s未満の割合が10%を超える場所)を25%改善したほか、最適化の作業期間を95%以上短縮できることを確認した(図1)。

図1:KDDIが導入した、基地局のパラメータを自動で設計するAI技術の概要(出典:KDDI、KDDI総合研究所)
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 開発の背景としてKDDIは、通信状況を改善するためのパラメーター設定にかかる膨大な作業負荷を挙げる。「従来のAI活用(強化学習)では、複数の基地局を一括して学習・推論する集中型モデルが一般的だった。しかし、この手法では対象基地局の増加に伴ってAIモデルが肥大化するため、適用範囲が数十局程度にとどまり、全国規模の大規模ネットワークへの拡張が困難である」。

 今回開発したエリア最適化技術は、複数のAIが協力して学習を行う「分散強化学習」に基づいて、基地局周辺の状況と膨大なパラメーター設定(電波の放射方向や強度、トラフィック処理方法など)の組み合わせを解析し、最適な設定値を自律的に導出する。分散型モデルの採用により、全国の基地局に対するリアルタイムかつ高精度な最適化が可能になるとしている(図2)。

図2:従来のエリア最適化手法とエリア最適化技術の比較(出典:KDDI、KDDI総合研究所)
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 エリア最適化技術では、全国の大規模な基地局ネットワークを効率的に制御するため、最適な設定値を推論・反映する「推論器」を多数・並列に起動して各基地局に割り当てる。同時に、「学習器」が各推論器から設定と通信品質の関係を「経験」として収集。各基地局に共通する普遍的な知識を抽出・統合して推論器群全体へ共有することで、学習の高速化と推論精度の向上を両立させる。

 加えて、推論器群からデータを収集する際、AIの学習に有効なデータのみを選別・伝送する独自技術(特許出願中)も導入した。これにより、ネットワーク上の通信量を抑制しつつ、学習効率を最大化できるという。

 先行して同技術を導入した一部エリア(宮城県、愛知県全域の約1.2万セル)においては、混雑などにより低速通信(5Mbps未満の割合が10%を超える状況)が発生しやすい場所が、導入前と比較して25%改善した。

 また、手作業との比較でも大幅な効率化を達成している。全国10万セルのパラメーターを最適化する場合、従来は5人のエンジニアで約2年3カ月を要していた。本技術を適用した場合、人員を増やすことなく1カ月未満で最適化が完了し、作業期間を95%以上短縮できるとしている。

 両社は今後、同技術のさらなる高度化を進め、運用および設計の自動化など、AI for Networkに関わるさまざまなユースケースへ拡張していく方針である。

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