[調査・レポート]

国内ERP市場でSaaSが急拡大、全体では2024年度まで年平均9.5%成長─ITR

2021年4月9日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

アイ・ティ・アール(ITR)は2021年4月8日、国内のERP(統合基幹システム)製品を対象に、提供形態別およびパッケージ製品の運用形態別に、市場規模の推移と予測を発表した。ERP市場の2019年度の売上金額は1128億円、前年度比12.4%増となった。同市場のCAGR(2019~2024年度)は9.5%を予測している。

 ITRは、国内のERP(統合基幹システム)製品における市場規模の推移と予測を発表した(図1)。ERP市場の2019年度の売上金額は1128億円で、前年度比12.4%増となった。既存ユーザーによるシステム刷新やシステム拡張が堅調に進んだ。

図1:ERP市場規模推移および予測:提供形態別(パッケージ部分は運用形態別)(2018~2024年度)(出典:アイ・ティ・アール)図1:ERP市場規模推移および予測:提供形態別(パッケージ部分は運用形態別)(2018~2024年度)(出典:アイ・ティ・アール)
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 2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大による営業活動の低下や案件の先延ばしなどが要因で、前年度比5.8%増と低い伸びを予想している。ただし、今後は老朽化したERPシステムの再構築需要が見込まれることから、2019~2024年度のCAGR(年平均成長率)を9.5%と予測している。

 ERP市場をパッケージとSaaSの提供形態別で比較すると、2019年度から2020年度にかけて、パッケージ市場が横ばいで推移しているのに対し、SaaS市場は急拡大している。

 主要ベンダーは、新規案件についてはSaaSでの販売を推進している。パッケージを導入している既存ユーザーに対しても、徐々にSaaSへの移行を進めている。こうした経緯から、パッケージ市場のCAGR(2019~2024年度)がマイナス0.1%なのに対して、SaaS市場のCAGRは24.0%と高い成長率を予測している。

 パッケージ市場をユーザー企業の運用形態別に見ると、2018年度から2020年度にかけて、オンプレミスはマイナス成長を続けている。これに対して、IaaSは20%前後の伸びを維持しており、2021年度以降もこの傾向が続くと予想できる。

 ITRは次のように分析している。「近年では、IaaSへの抵抗感が薄れ、基幹システムでもIaaSを導入する企業が増えている。ERPパッケージの稼働環境としてIaaSを選択する企業が増えている。各ベンダーが自社のIaaSとERPパッケージのセット販売を推進していることも大きな要因である」

 今回の発表は、ITRが発行する市場調査レポート『ITR Market View:ERP市場2021』に詳細を掲載している。同レポートには、ERP市場を対象に、国内48ベンダーへの調査に基づいた2018~2019年度売上げ実績および2024年度までの売上げ予測を掲載している。

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