「量子技術による新産業創出協議会」の設立発起人会は2021年9月1日、設立会員24社による総会の承認を得て、任意団体「量子技術による新産業創出協議会(Quantum STrategic industry Alliance for Revolution、Q-STAR)」を設立した。量子技術を利用した新産業の創出を目指す。
量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR)は、量子技術を利用した新産業の創出を目指す任意団体である。設立会員は24社で、運営委員会は設立会員のうちの7社7人で構成する。必要に応じて部会を設置する(図1)。設立時点で、「量子波動・量子確率論応用部会」や「量子重ね合わせ応用部会」など、4つの部会がある。
図1:部会活動の概要(出典:量子技術による新産業創出協議会)
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量子技術による新産業創出協議会の主な活動内容として以下の7つを挙げている。
- 量子技術の動向に関する調査・研究
量子技術の全般の動向の調査、産業界トップ層の間で情報共有 - 量子技術の産業活用に関する調査・研究・提案
複数分野についての応用可能性を調査・研究 - 量子関連技術に関する調査・検討
量子技術に必要となる材料、デバイス等についての調査・検討、情報共有 - 量子関連人材に関する調査・企画・提案
量子技術に関連する人材の育成に関する調査・企画・提案、意見交換 - 制度・ルールについての調査・検討
量子技術の実装に際し必要となる知財・標準化、倫理、トラスト等の調査・検討 - 国内外の量子関連団体等との連携
本協議会の各種事業推進に必要となる国内外の量子関連団体との連携 - その他
普及広報、政策提言など
設立時に設置する4つの部会の概要は、以下のとおりである。
- 量子波動・量子確率論応用部会
量子振幅推定や最適化を用いた新しい産業の創出を検討する。これらの技術と親和性の高い金融業界をはじめ、様々な業界の柱となる産業や複数業界に跨る産業の創出を目指す - 量子重ね合わせ応用部会
量子コンピュータの最大の特徴である量子重ね合わせの応用により創出されるシステムやサービス、ビジネスと、それによる既存産業や業界構造の変化を広い視野で検討する。ユーザーとベンダーが協力して新たな社会像を描くことで、業界の次の柱になるような新産業や、複数業界に跨った新産業の創出を目指す - 最適化・組み合わせ最適化問題に関する部会
量子現象に着想を得た新コンピューティング技術(イジングマシン)を用いて、膨大な組み合わせの中から最適解を瞬時に算出し、リアルタイム予測、効率化、最適化などの問題を解くことで、産業分野の様々な課題解決を目指す - 量子暗号・量子通信部会
現在既に利用可能な技術である「量子暗号通信」のビジネス応用を検討し、理論的な安全性が保障された通信が切り拓く未来創出を目指す
設立会員は以下の24社で、運営委員会は7社7人で構成する。
- 運営委員会
- NEC 取締役会長 遠藤信博氏 (副委員長)
- NTT 取締役会長 篠原弘道氏 (副委員長)
- 東芝 代表執行役社長CEO 綱川 智氏 (委員長)
- トヨタ自動車 代表取締役会長 内山田竹志氏
- 日立製作所 取締役代表執行役 執行役会長兼CEO 東原敏昭氏 (副委員長)
- 富士通 代表取締役社長CEO兼CDXO 時田隆仁氏 (副委員長)
- 三菱ケミカル 代表取締役社長 和賀昌之氏 (副委員長)
- 設立会員(24社)
- 伊藤忠テクノソリューションズ
- SBSホールディングス
- NEC
- NTT
- キヤノン
- JSR
- 住友商事
- SOMPOホールディングス
- 第一生命保険
- 大日本印刷
- 大和証券グループ本社
- 長大
- 東京海上ホールディングス
- 東芝
- 凸版印刷
- トヨタ自動車
- 日立製作所
- 富士通
- みずほフィナンシャルグループ
- 三井住友海上火災保険
- 三井住友フィナンシャルグループ
- 三井物産
- 三菱ケミカル
- 三菱電機