矢野経済研究所は2021年10月11日、国内ERP(統合基幹情報システム)パッケージライセンス市場の調査結果として、参入企業・ユーザー企業の動向や将来展望を発表した。2020年の同製品市場は1201億6000万円で、前年比1.4%増とほぼ横ばいとなった。ただし、デジタルトランスフォーメーション(DX)への関心の高さから需要は堅調で、2021年以降は回復基調に転じると予測している。
矢野経済研究所によると、2020年の国内ERPパッケージライセンス市場は、エンドユーザー渡し価格ベースで1201億6000万円で、前年比1.4%増とほぼ横ばいとなった(図1)。原因の1つに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を挙げている。「2020年春頃には、ユーザー企業の業績悪化や先行き懸念から、案件の停止が生じた」(同社)。
拡大画像表示
同社によると、投資先として緊急性の高いテレワーク環境整備などが優先され、ERPの導入は一時見送りとなる場合もあったという。特に、投資力が限られる中堅・中小企業において、このような傾向が強かったとしている。
しかし、市場全体がマイナスになるほどの大きな影響は出なかった。理由として同社は、コロナ禍で業績が悪化した業種や企業が一部に留まったこと、経営環境の変化に対応するために優先的にERPへ投資した企業が多かったことを挙げている。
2021年のERPパッケージライセンス市場は回復基調に転じ、1256億円(前年比4.5%増)になるという。同社は、2016年から2023年までのCAGR(年平均成長率)は4.1%と成長を維持し、2023年には1392億円になるという予測を示している。